高い省エネ性能と環境への優しさから、多くの家庭で導入を検討されている給湯システム「エコキュート」。マンションでもエコキュートの設置は可能でしょうか?
結論から言うと、可能です。しかし、マンションでのエコキュートの設置には、戸建て住宅とは異なるいくつかのポイントがあります。
そこで本記事では、マンションでエコキュートを設置するときの注意点や、マンション用エコキュートの選び方について解説します。後半ではマンションにおすすめのエコキュートも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1.マンションでエコキュートを設置する際の注意点
マンションでエコキュートを設置する際には、注意すべき点がいくつかあります。ここでは、マンションでエコキュートを設置する際に気を付けるべきポイントについて詳しく解説していきます。
1-1.設置スペースの確保が必要
エコキュートをマンションに設置する際は、十分な設置スペースの確保が必要です。エコキュートは貯湯タンクとヒートポンプユニットを含むため、設置に一定のスペースが必要になります。
必要となるスペースは製品やモデルによって異なりますが、一般的な目安としては貯湯タンクユニットが幅90cm程度、奥行き30cm前後、ヒートポンプユニットは幅55~65cm、奥行き60~75cm程度です。
また、バルコニーや屋外に設置する場合は、スペースの大きさだけでなく、耐荷重や安全性も考慮する必要があります。
1-2.管理組合・管理会社の許可が必要
管理組合や管理会社からの許可も必要です。マンションでは個々の住戸だけでなく、廊下やエレベーターなどの共有スペースを皆で使っています。そのため、エコキュートのような大きな設備を設置する時は、管理組合の了承を得る必要があります。
また、エコキュートの設置に際して配管工事や外部ユニットの設置が必要になることがあり、場合によっては作業音などが近隣住民の生活に影響を与えることも考えられます。
管理組合や管理会社からの許可をもらうためには、エコキュートの設置計画をしっかり伝えることが大切です。どこに設置するか、工事の大きさ、騒音をどう防ぐかなど、安全に設置するための対策や住民の生活に配慮した内容を含めるようにしましょう。
1-3.騒音トラブルに注意
マンションでエコキュートの設置を考える際、とくに注意すべきなのが騒音問題です。エコキュートはヒートポンプ技術を利用してお湯を沸かすため、運転時には多少の運転音が発生します。深夜にこの音が響いてしまうと、近隣住民との騒音トラブルに発展する可能性があるため、エコキュートを設置する際には騒音対策を十分に行いましょう。
具体的な対策としては、エコキュートのユニットを隣家や寝室から離れた場所に設置する、防音材を使用する、低騒音モデルを選ぶなどが挙げられます。騒音対策をした上でエコキュートを導入すれば、快適なマンション生活を維持しつつ、エコキュートのメリットを得られるでしょう。
2.マンションでエコキュートを使うメリット
エコキュートは省エネにより光熱費を抑えられる給湯器として知られており、マンション生活においてもそのメリットを得られます。ここでは、マンションでエコキュートを使うメリットについて紹介するので参考にしてみてください。
2-1.光熱費を節約できる
エコキュートの大きな魅力の一つは、光熱費を節約できることです。エコキュートは、空気中の熱を利用してお湯を沸かすため、従来のガス給湯器や電気温水器に比べてかなり効率的。
また、時間帯によって異なる電気料金で契約している場合、夜間など電力の安い時間帯を利用してお湯を沸かして貯湯タンクに蓄えておくことで、高くなりがちな昼間の電力料金を節約できます。
2-2.節水・省エネができる
エコキュートの導入により省エネ効果を得られるのはもちろんのこと、中には節水モードが搭載されているタイプのものもあります。必要なお湯だけを効率的に沸かすことができるため、無駄な水の使用を減らすことが可能です。結果、環境とお財布への負担を軽減できるでしょう。
2-3.災害時に貯湯タンクのお湯を使える
災害時に貯湯タンクのお湯を使えることも大きなメリットです。エコキュートには大容量の貯湯タンクがあり、普段は日々のお湯の使用に利用されますが、万が一の災害時にはこのタンクに蓄えられたお湯を使用することができます。停電やガス供給の停止が発生した場合でも、貯湯タンクに蓄えられたお湯を使って、最低限の生活を支えることが可能です。特に地震などの自然災害が発生しやすい日本国内においては、大きな安心材料となるでしょう。
ただし、貯湯タンクは、使用するほどに水垢や水道水のミネラル成分などの沈殿物が溜まってしまうもの。飲料水として使用する場合には日頃から定期的にメンテナンスをした上で、必ず煮沸を行ってください。
3.マンションのエコキュート導入はお得?
エコキュートは、マンション生活においても大幅な節約が期待できます。ここでは補助金制度と長期的な節約効果について、それぞれ詳しくみていきましょう。
3-1.マンション用エコキュートの補助金制度
エコキュートの導入・初期費用は、一般的に30〜70万円程度が目安とされており、マンションで使うようなコンパクトなタイプのエコキュートであれば、もう少し安く導入できる場合もあります。とはいえ、導入にかかる初期費用はできるだけ安く抑えたいものです。
エコキュートの導入や交換には、補助金を利用できるケースがあります。「住宅省エネ2023キャンペーン」をはじめ、多くの自治体ではエコキュートの導入を促進するために補助金制度を設けています。
エコキュートの購入費用の一部を補助してもらえる仕組みで、補助金を利用すれば導入の初期費用を大幅に軽減可能。補助金の額や条件は自治体によって異なりますが、調べてみる価値はあるでしょう。補助金を活用することで、設置に伴う追加の費用負担を減らせることは大きなメリットです。補助金制度の詳細情報は、住んでいる地域の自治体やエコキュートの販売店に問い合わせて確認してみましょう。
3-2.長期的な節約効果
エコキュートを使うことで、長期的な節約効果が期待できます。エコキュートは、従来の給湯器と比べて効率よくお湯を沸かしてくれるため、日々の光熱費が大幅に削減され、長期的に見るとかなりの節約になります。
また、エコキュートは耐久性が高く、長期間にわたってお湯を安定供給してくれるのもポイント。通常、内部のタンクやヒーターが適切にメンテナンスされている限り、約10年程度の使用が期待できます。頻繁な修理や交換の必要が少なくすむため、メンテナンスコストも抑えられるでしょう。
4.マンション用エコキュートの選び方
一口にエコキュートといっても、その種類はさまざま。トラブルなく快適にエコキュートを使い続けるためには、マンションの特性を考慮した上で適切なモデルを選ぶのがポイントです。
4-1.コンパクトなモデルを選ぶ
マンションでは設置スペースが限られていることが多いため、コンパクトなモデルを選ぶことが重要です。特にバルコニーや屋外スペースに設置する場合、スペースを取りすぎないサイズのエコキュートを選ぶようにしましょう。コンパクトなサイズのエコキュートであれば、マンションの限られたスペースでも設置しやすく、外観や住環境にも影響を与えにくいです。また、小型モデルは設置にかかる工事の手間やコストも抑えられるため、導入のハードルが低くなります。
4-2.貯蓄タンクの容量で選ぶ
エコキュートの貯蓄タンクの容量は、家庭の使用状況に応じて選ぶことが重要です。貯蓄タンクは主に「370リットル」「460リットル」「550〜560リットル」の3タイプがあるので、家族の人数やお湯の使用量に合わせて適切なタンクの容量を選定しましょう。小人数の家族やお湯の使用量が少ない家庭であれば、小容量のモデルが適しています。逆に、大家族やお湯を多く使用する家庭では、大容量のモデルが必要になるでしょう。適切な容量のモデルを選ぶことで、無駄なエネルギー消費を防ぎ、効率的にお湯を使用できます。
4-3.騒音の少ないモデルを選ぶ
マンションでは、隣接する住戸への騒音の影響を考慮する必要があります。エコキュートの中には、運転時にある程度の音が発生するモデルもあるため要注意。近隣住民との騒音トラブルを避けるために、騒音レベルが低いモデルを選ぶようにしましょう。音の目立たないモデルを選ぶことで、夜間や早朝に運転する場合も、隣人への影響を最小限に抑えることができます。また、静かな運転音のモデルであれば、自分たちも静かな環境で快適に過ごせるでしょう。
4-4.機能性と操作性で選ぶ
エコキュートを選ぶ際には、機能性と操作性も重要なポイントです。現代のエコキュートには様々な便利な機能が搭載されており、日々の生活をより快適にサポートしてくれます。例えば、リモートコントロール機能を持つモデルでは、スマートフォンや専用のリモコンを使って、遠隔地からでも給湯器の設定を変更できます。また、タイマー機能を利用すれば、必要な時にだけお湯を沸かすことができ、無駄なエネルギー消費を抑えることが可能です。操作性については、直感的で使いやすいタイプのモデルを選ぶようにしましょう。操作パネルが分かりやすく、必要な機能をさっと使うことのできるモデルなら、日常生活においてストレスを感じることなく使用できます。特に、高齢者をはじめデジタル機器の操作に不慣れな方がいる家庭では、シンプルで使いやすいモデルを選ぶとよいでしょう。
4-5.アフターサービスが充実しているメーカーを選ぶ
エコキュートの選択において、アフターサービスの充実度も重要な要素です。信頼できるメーカーから購入すれば、購入後のサポートやメンテナンスの面も心配ありません。メーカーによっては定期的なメンテナンスのほか、故障時の迅速な対応、長期保証などの充実したアフターサービスを提供するところもあります。万が一の故障やトラブルが発生した場合でも、迅速かつ適切なサポートを受けることができるでしょう。購入前には、メーカーのサポート体制や保証内容を確認し、信頼できるメーカーを選ぶことが重要です。
5.マンション用エコキュートのおすすめ4選
最後に、マンション用エコキュートのおすすめをピックアップしてご紹介します。マンション用エコキュートでは、「三菱電機」「パナソニック」「コロナ」「ダイキン」が特におすすめのメーカーです。これらのメーカーは、省エネ性能、操作性、デザイン、アフターサービスの面で優れており、マンションでの快適な生活をサポートしてくれます。エコキュートは長く使うものなので、それぞれの家庭に合ったモデルを慎重に選ぶようにしましょう。
5-1.三菱電機
三菱電機の「エコキュート ライト」や「コンパクト エコキュート」は、高いエネルギー効率と優れた耐久性で知られています。集合住宅でも使いやすいコンパクトな設計が特徴で、限られたスペースにも適しているのが大きな魅力。また、使いやすい操作パネルや省エネモードなどの便利な機能も充実しており、日々の使用が快適です。三菱電機の製品は光熱費の節約が期待できることはもちろん、信頼性の高い性能により、多くの家庭に選ばれています。
5-2.パナソニック
パナソニックのエコキュートは、革新的な技術と洗練されたデザインで人気です。コンパクトなモデルがたくさん出ており、省スペースでありながら高い給湯能力を持っているのが特徴。また、パナソニックは使いやすく便利な機能が豊富に揃っているほか、充実したアフターサービスもパナソニックの大きな魅力の一つです。
5-3.コロナ
コロナのエコキュートは、コストパフォーマンスに優れていることで知られています。「薄型タイプ」や「省スペース・スリムタイプ」などのマンション向けのモデルでは、コンパクトながらも高い効率性を実現しているのが特徴。コロナの製品は、シンプルながらも必要な機能をしっかりと備えており、使い勝手の良さが評価されています。また、簡単な操作性も魅力で、高齢者やデジタル機器の操作に不慣れな方がいる家庭にもおすすめです。
5-4.ダイキン
ダイキンはエアコンなどで知られているメーカーですが、エコキュートにおいても高品質な製品を提供しています。ダイキンのエコキュートは静音性と省エネ性能に優れており、マンションでの使用にもぴったりです。また、最新のヒートポンプ技術を採用しているため、効率的な給湯が可能。長期的な使用を考えた耐久性と使い勝手の良さで、多くのユーザーから支持を受けています。
6.まとめ
いかがでしたか?
この記事では、マンションでのエコキュートの設置可能性、選び方、おすすめのモデルについて詳しく解説しました。エコキュートは、省エネにより光熱費が削減できる、マンション生活においても理想の給湯システムです。マンションでエコキュートを設置する際には、管理組合や管理会社の許可を得ることや、適切な設置スペースの確保、騒音への配慮などに注意しましょう。また、モデル選びの際には、設置スペースを取らないコンパクトなサイズのものや、低騒音モデルのものを選ぶようにしてみてください。
エコキュートは、光熱費の削減と快適な生活をもたらしてくれる便利なアイテムです。本記事でご紹介したポイントを考慮してエコキュートを選ぶことで、日々の生活をより豊かで快適なものにしてくださいね。
もしお悩みの際は、ぜひ【おうちのアラート】までお相談ください。