エコキュート交換の工事費込みの費用相場は?費用を抑えるポイントも解説

省エネ効果が高く、環境やお財布に優しいと人気の「エコキュート」。そんなエコキュートに交換したいとお考えの方の中には、

「エコキュートの工事費を含めた導入費用はいくらぐらい?」
「エコキュートの選び方はどうすればいい?」

とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで本記事では、エコキュートの導入にかかる費用の基礎知識や相場、費用を抑えるコツ、さまざまなエコキュートのタイプについて詳しく解説していきます。ぜひ本記事を参考に、ご家庭の予算やニーズに合わせてエコキュートの導入を行なっていきましょう。

1.エコキュートとは

まずはじめに、エコキュートの仕組みや特徴、メリットについて解説します。また、エコキュートの交換の際には知っておきたい注意点も紹介しますので、ぜひエコキュート交換工事を依頼する前の参考にしてみてくださいね。

1-1.エコキュートとは

「エコキュート」とは、家庭で利用される給湯システムの一種で、ヒートポンプ技術を使って空気の熱でお湯を沸かします。この給湯機は、再生可能なエネルギーである「空気」の熱を利用し、エアコンなどで使用されているヒートポンプ技術を応用しています。

エコキュートの正式名称は、「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」ですが、環境に優しいことを示す「エコ」と、給湯を意味する「キュート」を組み合わせた造語である「エコキュート」が広く親しまれています。

安価な夜間電力を利用してお湯を沸かすため、給湯にかかる電気代が安く、ガス給湯器よりもランニングコストを抑えられるのが特徴です。

1-2.エコキュートの仕組み

エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯ユニットで構成されています。ヒートポンプは、空気中の熱を吸収することで作動します。CO2という自然冷媒は、安全でありながら熱を効率的に伝える特性を持ちます。これにより、環境に優しく、他の冷媒よりも安全性が高いのです。かつてはフロンと呼ばれる人工物が冷媒として使われていましたが、そのオゾン層破壊物質としての問題から、CO2のような自然冷媒が注目されるようになりました。空気中から吸収した熱を圧縮し、高温に加工した後、水と熱交換することでお湯を作り出します。こうしてできたお湯は貯湯タンクにためられます。そして、冷媒であるCO2は再び低温に戻され、再び空気から熱を吸収するサイクルを繰り返します。この方法で、お湯を作り出し貯湯タンクに貯める仕組みとなっています。

機種によっても異なりますが、エコキュートで生み出される熱エネルギーは、消費される電力と比べて3倍以上とされています。そのため、非常に省エネ性能の高い給湯器として親しまれているのです。

1-3.エコキュートに交換するメリット

光熱費が安い

エコキュートは、従来の給湯器よりも光熱費を抑えることができるのが最大のメリット。エコキュートは基本的に電気代が最も安い夜間電力を使用してお湯を沸かすため、電気代とガス代の節約に繋がるのです。特に、プロパンガスなどの割高な燃料を使用している家庭では、エコキュートへの切り替えでランニングコストの大幅削減が期待できます。

環境にやさしい

エコキュートは再生可能エネルギーである空気の熱を効率的に利用してお湯を沸かします。ヒートポンプユニットは少量の電力を必要としますが、主に再生可能エネルギーである空気中の熱を利用してお湯を沸かします。そのため、従来の電気温水器よりも約3分の1の電力で済むことが多く、地球温暖化対策に効果的です。自然エネルギーと電力を効率よく活用することで、地球環境への負荷を減らすことができます。

非常時に水が利用可能

エコキュートには貯湯タンクがあり、災害時に備えてお湯を貯蔵しています。停電や断水時には、このタンク内の水を非常時の生活用水として利用することができます。ただし、汚染のリスクがあるため、飲用する際には煮沸処理が必要です。

一方で、エコキュートの交換の際にはいくつか留意しておくべきこともあります。エコキュートは、従来の電気温水器やガス給湯器に比べて本体価格が高いため、初期費用が高額となります。そのため、お湯の使用量が少ないご家庭では、エコキュートを導入しても光熱費の節約効果が十分に得られない場合もありますので注意しましょう。また、水質を維持するために、定期的なタンク内の掃除が必要となります。お手入れにあまり手間をかけたくない、という方はこの点も考慮に入れて検討することをお勧めします。さらに、室外機の騒音によるトラブルの可能性も。エコキュートは夜間に稼働するため、近隣住民との騒音トラブルを引き起こす可能性も考えられます。設置場所を選ぶ際には、隣近所から離れた場所を選ぶことが重要です。

2.エコキュート交換の工事費込みの費用相場

エコキュートを交換する際の費用は、「エコキュートの本体価格」と、「工事費」の2つに大まかに分けられます。さらに、その工事費の中でも「電気工事費」や「水道工事費」など、様々な内訳があります。それぞれの工事費の相場費用はどの程度なのか、エコキュートの交換には工事費込みでどのくらいかかるのか詳しく解説していきます。

2-1.基礎・水道工事費の費用相場

エコキュートを新たに取り付ける場合、基礎工事や水道工事が不可欠です。
基礎工事では、使用していた給湯器の撤去、エコキュート設置のための土台作りが行われます。この工程は、コンクリートを流し入れ土台を作る「土間打ち」と既にあるコンクリートの土台を応用する「エコベース」の2つの方法で実施されます。
また、水道工事では水を通すための配管工事が行われます。給水や給湯をする配管や循環追炊用の配管は、元々の配管を利用することが一般的です。この際に浴槽内に追い焚き用の循環口も新たに設置されます。

その後いよいよ、エコキュート本体の設置が行われます。ヒートポンプと貯湯ユニットが搬入され、基礎工事が完了した土台に水平に取り付けられます。最後に電気工事へと進み、設置は完了となります。電気工事費の費用相場については次の項目で解説します。

基礎・水道工事費の相場は、交換の場合は約6〜10万円程度とされていますが、新たにエコキュートを設置する場合は、約15万円以上ほどになることも。また、旧設備がエコキュート・電気温水器の場合は相場の中でも比較的安価になりますが、ガスタイプからの交換の場合は高額な傾向にあります。

ただし、エコキュートの種類や設置場所、地盤の状況、施工業者によって費用は異なるため、事前に見積もりを取ることが重要です。特にエコキュートの設置場所への搬入が難しい場合、クレーン付トラックでの吊り上げが必要となり、特殊運搬費が別途発生することもありますので、注意が必要です。

2-2.電気工事費の費用相場・工事費込みの費用相場

エコキュートの設置には、水道工事に続き電力工事が必要です。電気工事には、配線工事、ブレーカーや分電盤の交換、幹線の張り替え、電力会社への申請などが含まれており、主にこの施工内容によって費用相場が変動します。

具体的には、電気工事費の相場は一般的に約6万円から15万円ほどとされていますが、電気配線工事やブレーカーの取り付けだけであれば、2.5万円から5万円程度で済む場合もあります。また、エコキュート本体とブレーカーなどの配線が離れている場合は、追加の費用が必要となることもあるなど、エコキュートの設置に伴う電気工事費用は、見積もりが難しい部分も多くあります。そのため、業者に具体的な見積もりを依頼することが重要です。その際、作業内容や工事の範囲について詳細な説明を受け、費用の見積もりを確認しましょう。

2-3.本体価格と工事費を含めた総費用

エコキュートを導入する際の総費用は、本体価格と工事費が主な要素です。これまで工事費について解説してきたため、次にエコキュートの本体価格を紹介します。

エコキュートの本体価格は30万円〜60万円程度が相場とされており、貯蔵タンクの容量や機能の違いによって大きな差があります。よって、標準的な価格のエコキュートに交換する場合、工事費を含めた総額は50万円前後と見積もっておくとよいでしょう。ただし、選ぶエコキュートだけではなく、先述した水道工事や電気工事の内容によっては、総費用が安くなる場合もあれば高くなる場合もあります。特にエコキュートを新設する場合は、追加工事が発生しやすく、その分全体の総費用がかさむため注意が必要です。エコキュートの本体価格だけでなく、業者に細かな見積もりを依頼して、全体の費用をきちんと把握するようにしましょう。

3.エコキュートの価格変動ポイント

エコキュートは貯蔵タンクの容量やグレードの違いによって、機種ごとに価格が大きく異なります。そのため、エコキュートを選ぶ際には、ご家庭のニーズに合った適切な価格のものを選ぶことが大切です。そこで、この章ではエコキュートの本体価格が変動するポイントについて詳しく解説します。ぜひ、最適なエコキュートを選ぶ際の参考にしてみてくださいね。

3-1.給湯の方式

エコキュートの給湯方式には、「給湯専用タイプ」「オートタイプ」「フルオートタイプ」の3つのタイプに分けられます。

まず、「給湯専用タイプ」は、お湯の張りや追い焚きなどの自動機能がなく、お湯を手動で出すシンプルなタイプです。一部の製品では、お湯が設定量に達した際に音声で知らせてくれる機能もあります。設置費用が他のタイプよりも安価で、価格を最も重視したい方に適しています。

次に、「オートタイプ」は自動でお湯を張ることができるタイプで、費用は中価格帯とされています。保温や追い焚きの機能はありませんが、お湯を自動で張れれば十分と考える方におすすめのタイプです。

そして、「フルオートタイプ」はお湯の張りや足し湯、追い焚きなどを全て自動で行うタイプです。設定したお湯の温度や量を自動で調整し、利便性が高い一方で、必要のない時に無駄な追い焚きや足し湯が行われることがあるため、注意が必要です。自動機能が充実しているため、費用相場は他の2タイプに比べて最も高価であるとされています。

また、異なるタイプへの変更には、外壁に穴を開けて新たな配管を設置するなどの大掛かりな工事が必要となるため、現在と同じ給湯タイプのものを選ぶとスムーズ。機種選びに迷われた際には、専門業者へ相談するのもおすすめです。

3-2.貯蔵タンクの容量

エコキュートの価格に影響を与える要素の一つが、貯湯タンクの容量です。貯湯タンクの容量が大きいほど、エコキュートの価格も高くなる傾向があります。

貯湯タンクの容量によって、一度に沸かせるお湯の量が左右されるため、お湯切れを起こさないためにも貯湯タンクの容量は家族の人数に合わせて選ぶことが重要です。一般的な目安では、300~320Lは2~3人、370Lは3~5人、460Lは4~7人、550~560リットルは5人以上が推奨されています。一般的に普及しているサイズは、370Lと460Lです。家族の人数よりも大きすぎる貯湯タンクを選択すると、必要以上に光熱費がかかってしまいます。

一方、目先の導入費用に惑わされて小さい貯湯タンクのエコキュートを選ぶと、お湯切れが発生しやすくなります。これにより、電気代が高い時間帯にお湯を沸かすことになり、本来の節約効果を損なうことにもつながりかねません。

エコキュートを最大限に活用し、光熱費を節約するには、適切な容量の貯湯タンクを選ぶことが何よりも重要です。

3-3.搭載機能によるグレード

エコキュートには様々な機能があり、搭載機能によりそのグレードが決まります。

微細な泡が温浴効果、美肌効果、洗浄効果をもたらす「ウルトラファインバブル入浴」や、お湯をきれいに保つ「除菌機能」、入浴後の浴槽の熱を回収して貯湯タンク内の水の昇温に利用する「ふろ熱回収機能」、「太陽光発電システム連携機能」、「スマホアプリ対応機能」、「自動ふろ配管洗浄機能」、「高速湯はり機能」など、メーカーによってもその注力機能はさまざまです。

一般的に、これらのエコキュートの搭載機能は「スタンダード」、「ミドルグレード」、「ハイグレード」の順に豊富になり、機能が増えるほど価格も上昇します。一般的な費用相場は、豊富な機能が搭載されたハイグレードが45万〜60万円、ミドルグレードが40万〜45万円、シンプルな機能のみを搭載したスタンダードグレードが30万〜35万円とされています。予算や必要性に応じて最適な機種を選ぶことで、満足度を高めることも、価格を抑えることも可能です。ご家族や専門業者とよく相談の上、ニーズに合った適切なグレードのエコキュートを選ぶようにしましょう。

4.エコキュート交換の工事費を抑えるコツ

エコキュートの交換を行う際にかかる費用を抑えるための方法はいくつかあります。以下では、エコキュートの交換にかかる費用を抑えるコツについて、詳しく解説します。ただし、安く抑えるにあたっての注意点もありますので、留意した上でエコキュートの交換工事を依頼するようにしてくださいね。

4-1.工事費の安い専門業者に依頼する

エコキュートを交換する際の費用は、「エコキュートの本体価格」と、それに伴う「工事費」の2つに大まかに分けられます。そのため、なるべく安く交換作業を行いたい場合、工事費が安い専門業者に依頼するのも一つの手です。エコキュートの交換にかかる工事費は、専門業者によって異なります。なるべく安い工事費で交換を行いたい場合は、最低でも3社の専門業者から見積もりを取ることをおすすめします。また、専門業者によっては無料保証など、様々なオプションも用意されているので、適切に取捨選択をすることも節約につながります。

しかし、あまりにも相場から外れた安価な専門業者にも注意が必要です。工事費の安価な業者であっても、工事範囲や作業内容についてきちんとお互いの認識が合っていないと、後々追加料金が発生することもあります。工事内容の内訳がやや煩雑でわかりにくいのが、エコキュートの交換工事。どこまでが作業内容に含まれているのか、基本工事や水道工事、電気工事の範囲やそれにかかる工事費を細かく確認しておくようにしましょう。そのため、オンラインだけのやり取りで決めるのではなく現地調査を実施してもらい見積もり確認を行うことをおすすめします。

4-2.エコキュートを安く購入する

もう一つのコストカットの方法は、エコキュート本体を安く購入するというもの。エコキュートの購入先には家電量販店やホームセンター、リフォーム業者など様々な業者が挙げられますが、エコキュートは、インターネットからでも購入できます。エコキュート本体を購入する際には価格比較をすることが重要ですが、インターネットであれば比較検討がしやすい点がなによりのメリット。ただし、購入先によっては取り付け工事の内容や業者の信頼性、保証制度などが不透明な場合もあるため、十分な注意が必要です。

次に、エコキュートのグレードを下げるのも一つの手。予算オーバーの場合は、本体の機能やグレードを見直しましょう。必要な機能を絞り込むことで、本体価格を抑えることが可能です。しかし、本体価格が安いからといって、家族の人数に対して貯湯タンクの容量が少ないエコキュートは選ばないようにしてください。容量が少ないとお湯切れを起こし、再度電気を使って湯を沸かす必要が生じます。その結果、光熱費が上がることになりますので、家族人数に合った適切な容量を選ぶことが重要です。

以上の方法によって、エコキュートの工事費を抑えることができます。ただし、価格だけでなくエコキュートの品質や、依頼する専門業者の信頼性、必要な機能などをしっかりと見極めて選ぶことが大切です。

4-3.補助金を活用する

エコキュートの導入にかかる費用を抑える手段の一つとして、補助金制度が存在します。エコキュートは環境に優しい製品であり、これを促進するために国や地方自治体からの補助金が以前から多く提供されていました。

2023年では「住宅省エネ2023キャンペーン」の「給湯省エネ事業」として、エコキュート1台あたり5万円の補助金を受けることができましたが、2024年3月中旬から正式に始まる「給湯省エネ2024事業」では、エコキュート1台あたり8万円、加算要件をすべて満たした場合は1台あたり5万円が追加されるため、最大13万円の補助金額が予定されています。

また、一部の地方自治体では独自の補助金を提供しており、その金額は自治体によって異なりますが、一般的に1万円〜3万円程度の補助が行われています。補助金の対象となる条件は、エコキュート自体の仕様や居住条件などが挙げられます。また、エコキュートは未使用のものであることも条件の一つです。条件は自治体によって異なるため、詳細は各自治体に確認が必要です。

補助金の申請はエコキュートの設置前に行い、補助金の交付が決定してから工事が行われます。ただし、必要な書類の提出や手続きに時間がかかることがあるため、余裕を持って申請することが重要です。補助金制度は市区町村ごとに異なるため、独自のルールや制限がある場合もあります。やや分かりづらいため、リフォーム会社など専門家と相談すると良いでしょう。

5.まとめ

いかがでしたか?
エコキュートの仕組みや、交換にかかる工事費、本体価格などの交換費用を抑えるコツについて解説しました。エコキュートの交換は、お風呂の快適さや機能性を向上させる重要なアップグレード。ご家庭の人数やニーズに合った適切なエコキュートを選ぶことが、お湯はり時や入浴時の快適さに繋がります。また、エコキュートの選定だけでなく、信頼できる専門業者に依頼することも肝要です。まずは無料の見積もり相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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