断熱材の役割とは?種類や特徴、選び方のポイントを徹底解説

断熱材は、住まいの快適さやエネルギー効率を大きく左右する重要な要素。

この記事では、断熱材の基本的な役割や種類、選び方のポイントをわかりやすく解説します。これから家を建てる方やリフォームを考えている方もぜひ参考にしてみてくださいね。

1. 断熱材の役割とは?

断熱材とは、住宅の壁や屋根、床や天井などの建物の構造部分に組み込まれる材料のこと。建物の中と外の温度差を緩和し、快適な室内環境を保つために利用されます。

つまり断熱材を組み込むことで、断熱材を導入していない住宅よりも、冬は暖かく、夏は涼しく保つことができるのです。

快適な環境を作ることでエアコンなどのエネルギー消費を抑えることもできるので、結果的に光熱費の削減につながります。また、防音効果も期待できるため、静かな住環境を目指す場合には一石二鳥です。

2. 断熱材の種類と特徴

ひと口に断熱材と言ってもその原料はさまざまです。以下では大きく3つに分かれる断熱材のメリットとデメリットを見比べていきましょう。

2-1. 繊維系断熱材

▲断熱材の吹き込みの様子

グラスウール

  • 原料と特徴
    グラスウールはリサイクルガラスを原料とした繊維系断熱材です。価格が比較的安価で、耐火性に優れています。ただし触るとチクチクするために、気になる方もいるかもしれません。ちなみに、チクチクする症状はウールのセーターを触っている時と同様の現象で、皮膚に炎症などを起こす心配はないとされています。

  • 利用に適した環境
    グラスウールは、一般住宅からビルまで幅広く使われています。ホームセンターでも手軽に入手でき、DIYでの施工も可能です。

ロックウール

  • 料と特徴
    ロックウールは玄武岩などの天然岩石を高温で溶かして作られる断熱材です。耐火性や防音性が高く、原料が鉱物であるだけに害虫にも強いのが特徴です。ただし、グラスウールと同様にチクチクするため、気になる方は対策が必要です。

  • 利用に適した環境
    ロックウールは、とくに防火性能が求められる場所や、音の遮断が必要な場所に適しています。

インシュレーションボード

  • 原料と特徴
    インシュレーションボードは、廃木材などの繊維を板状に成形した断熱材です。軽くて加工しやすく、施工も比較的簡単です。しかし、木質繊維のためシロアリや火、湿気などに弱い点が注意点です。

  • 利用に適した環境
    乾燥した環境や、壁の内側など、湿気の少ない場所に適しています。

セルロースファイバー

  • 原料と特徴
    セルロースファイバーは新聞紙などのリサイクル紙を原料とした断熱材です。環境に優しく、防虫性能、防火性能を持っています。また、施工方法にも無数の連続気泡を吹きつけて断熱施工していく「吹付充填工法」をとるため、細かい部分も隙間を作らず高い気密性を担保できるのが魅力です。優秀な断熱材であるだけに、施工には専門知識が必要となるケースがあり、価格も割高です。

  • 利用に適した環境
    エコ志向の強い住宅や、コストがかかっても高い気密性を確保したい方におすすめです。

2-2. 発泡プラスチック系断熱材

ビーズ法ポリスチレン

  • 原料と特徴
    ビーズ法ポリスチレンは、粒状のポリスチレンを発泡させる製造方法で作られた断熱材です。Expanded Poly-Styreneの頭文字をとり、別名EPSとも呼ばれます。水に強く耐久性があり軽量で施工が簡単ですが、断熱性能がやや低く、防火性に不安があります。

  • 利用に適した環境
    発泡プラスチック系断熱材の中では価格も比較的安く、広範囲で利用されており、特に結露防止に役立ちます。

押出発泡ポリスチレン

  • 原料と特徴
    押出発泡ポリスチレンは、ポリスチレンを連続して発泡させる製造方法で作られたボード状の断熱材で、高い断熱性と水・湿気への強さが特徴ですが、熱に弱く防火性が低いというデメリットがあります。

  • 利用に適した環境
    軽量で加工や施工がしやすく、シックハウスの原因となるホルムアルデヒドを含まないため安全性にも優れています。新築住宅やリフォームで広く使用されています。

硬質ウレタンフォーム

  • 原料と特徴
    硬質ウレタンフォームは、ポリウレタンを発泡させて作られた断熱材で、高い断熱性能と強度が特徴です。しかし、紫外線に弱く、長期間の直射日光には不向きです。

  • 利用に適した環境
    屋根や壁の断熱に広く使用され、とくに高い断熱効果が求められる場所に適しています。

フェノールフォーム

  • 原料と特徴
    フェノールフォームは、フェノール樹脂を発泡させて作られた断熱材で、高い断熱性能と耐火性が特徴です。熱伝導率の低さは他の断熱材と比較して優れており、それだけに価格が高めです。また、水や害虫に対して弱いこともデメリットでしょう。

  • 利用に適した環境
    高い耐火性能を必要とする建物や、断熱性能を重視する場所に適しています。

高発泡ポリエチレン

  • 原料と特徴
    高発泡ポリエチレンは、ポリエチレンを発泡させた断熱材で、軽量で柔軟性があり、衝撃吸収性にも優れています。ただし、断熱性能は他の発泡プラスチック系断熱材と比べてやや劣ります。

  • 利用に適した環境
    防音効果も期待できるため、床や壁の断熱に適しています。

2-3. 天然素材系断熱材

羊毛

  • 原料と特徴
    羊毛の衣服などをリサイクルして作られた断熱材です。環境に優しく耐久性も高いこと、防虫効果が永く続くこと、湿度を一定に保つ調湿性があることなどから、自然派を望む方に支持されます。一方で費用は他の断熱材よりも高くつく傾向にあり、取り扱える施工業者も限られています。

  • 利用に適した環境
    自然素材を重視するエコハウスや、健康志向の住宅に適しています。

炭化コルク

  • 原料と特徴
    炭化コルクは、コルクの樹皮を炭化させて作られた断熱材です。環境に優しく、自然素材であるため健康にも良いとされています。また、耐久性が高く、湿度を一定に保つ調湿性や防虫効果もあります。さらに、防音効果も高く、エコハウスや自然派志向の住宅に好まれる素材です。しかし、価格が他の断熱材と比べて高めであり、専門の施工業者が限られる点がデメリットです。

  • 利用に適した環境
    自然素材を重視するエコハウスや、健康志向の住宅に適しています。また、防音効果を重視する住宅にも適しており、快適な住環境を提供します。

3. 断熱材の種類を選ぶポイント

断熱材を選ぶうえで知っておきたい基礎的な知識はまず、「熱伝導率が低い素材ほど断熱性能が高い」ということです。具体的に熱伝導率の低さで言えば、発泡プラスチック系断熱材がもっとも低い傾向にあり、続いて無機繊維系断熱材となります。

しかし、実際には断熱材の種類よりも、環境に適してしっかりと断熱施工を行なうことが大切です。断熱工法には、柱を外側から断熱材で覆う「外張り断熱」、柱と柱の間に断熱材を張る「充填断熱」、その両方を行なう「付加断熱」の3種類がありますが、どの断熱工法を取るかをしっかり検討してくれる専門家を選ぶべきです。

また、住宅に適した断熱工法を施してくれる施工会社を選ぶ目安として、家の気密性を示す指標である「C値」を参考にするのがおすすめです。なぜなら気密性が高い家を作れるスキルは、断熱材の施工にも大きく影響するからです。気密性が高いほどC値の数値が低くなるため、目安として「1」以下の施工ができる会社を探すと良いでしょう。

4. まとめ

本記事では断熱材の定義を踏まえ、それぞれの断熱材の特徴や適した住環境をご紹介してきました。寒冷地に住んでいる方、多湿な環境に住んでいる方など、それぞれニーズが異なるはずです。プロの手を借りながら、ご自分の住宅に適した断熱材と工法を選びましょう。

もしお困りの場合には、ぜひ一度【おうちのアラート】までご相談くださいね。

24時間受付・365日対応