実は建築用語の「いぬばしり」!その定義や役割について解説

多くの人はマイホームを建てる際、初めて耳にするであろう「犬走り(いぬばしり)」という言葉。これは歴とした建築用語ですが、いったいどんなものを指すのでしょうか?

本記事では「犬走り」の定義や役割などを解説します。これからマイホームを建てようとしている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1. 犬走りとは

犬走り(いぬばしり)とは、家の周りを取り囲むように設けられた細長い通路のことです。

その幅40~60cm程度と、犬が走れるくらいの幅しかないので“犬走り(いぬばしり)”と呼ばれています。

周囲の地盤より一段高く作られているのが一般的です。主な目的は、建物を保護し耐久性を高めること。屋根からの雨水の跳ね返りによる建物の汚れや床下の湿気などを防ぐため、雨樋やコンクリートもない頃から日本の建築で採用されてきました。

一般的に、コンクリートを用いて構築されることが多いですが、建物との調和を考慮して、レンガ、タイル、敷石、たたき、モルタル、砂利などの材料を使用して作られることもあります。

2. 犬走りのメリット

2-1. 建物が泥はねを受けにくくなる

犬走りの主な役割は、雨の水はねや泥はねによる建物への汚れを軽減することです。

現代の住宅には雨水を集約して地面に流す「雨どい」が備わっていますが、土や木で作られた昔の建物にはそれがない場合もありました。この際に採用されたのが犬走りであり、建物の外観を美しく保ちつつ、汚れや損傷から守っています。

2-2. 美観を保ちやすくなる

犬走りを設けることで、地面が裸出することを防ぎ、周囲に雑草が生えにくくなります。雑草は土のある場所であればどこでも生えてくるため、草むしりが必要となりますが、日々の生活の中でマメに草むしりするのは難しい場合もあります。

あらかじめ犬走りで地面を埋めてしまえば、雑草の成長を抑えることで、住宅の景観を維持する手間が軽減されます。

2-3. 工夫次第で防犯になる

家を建てる上で気になるのが防犯面。通常のコンクリート製の犬走りでは歩行音が目立たないため、外部からの侵入に気づきにくい特性があります。

そんなときは犬走りに歩行音が響く玉砂利などを敷くことで、防犯効果が上がるとされています。地域の治安や周辺の環境などと併せ、ぜひ検討したい防犯策です。

3. 犬走りの施工パターン

3-1. コンクリート

施工性や耐久性に優れるコンクリートは、頑丈な犬走りを作りたい場合に適しています。コンクリートの犬走りのメリットは、平坦な作りで掃除がしやすいことや、丈夫なこと、雑草が生えにくく害虫被害が少ないことなどが挙げられます。

しかし、専門的な知識や技術が必要であり、あまりDIYには向いていません。よほどこだわりがある方以外は、必ずプロに依頼しましょう。

3-2. 砂利

砂利を使用した犬走りは、手軽に作ることができ、DIYにも向いている施工方法です。お好みの範囲や幅に砂利を敷けば犬走りが完成するため、定期的に家の雰囲気を変えたい人にも適しています。

歩行時に音が発生する砂利は防犯効果も期待できますが、その一方で雑草が成長する可能性や、野良犬や野良猫がフンをしにくる可能性も。別途それらの対策が必要となることを頭に入れておきましょう。

3-3. タイル

デザイン性にこだわりのある人なら、タイルの犬走りがおすすめです。いろんな色や模様があるため、エクステリアのおしゃれを楽しむことができるでしょう。

また、コンクリートの上に貼り付ける形式で施工するため、コンクリートの持つ雑草や害虫予防の機能も期待できます。ただし、手間と費用がかかる点がデメリットです。

3-4. レンガ

レンガを使った犬走りは、おしゃれかつタイルよりも安く工事ができるため、デザイン性とコストパフォーマンスの両面で優れている選択肢と言えるでしょう。ただし、コンクリートの上に敷く手間がかかり、経験やスキルが必要です。

また、DIYの場合にはレンガの取り扱いが難しく、デコボコした仕上がりになりやすいため、一定以上のスキルがない方には難しいかもしれません。

4. 犬走りをDIYする時の注意点

犬走りをDIYする際には、ひび割れやシロアリ対策が必要となります。

コンクリートで施工した犬走りにひびが入ると、そこから害虫や湿気などの問題が生じやすくなります。コンクリートのひび割れの多くは収縮によるものなので、長く綺麗な状態でお使いになりたい方は収縮低減剤を活用しましょう。

また、犬走りの上を通って床下に入り込むシロアリは対策が難しいため、プロの業者に相談し適切な対策を検討することが重要です。

5. まとめ

家を保護し、防犯対策や美観効果も期待できる「犬走り」。施工材料にはコンクリート、砂利、タイル、レンガなどがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。ご自分のお住まいに合うものを慎重に検討しましょう。

また犬走りはDIYでの施工も可能ですが、専門的な知識や技術が必要なため、失敗したくない方はプロの業者に依頼がおすすめです。

お困りの方は、ぜひ一度【おうちのアラート】までご相談くださいね。

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