自宅の外壁を新たにすることは、家そのものを生まれ変わらせるようなものです。この記事では、外壁塗装をDIYで行うことの可能性とその方法を探ります。自分でできるかどうか、どうすれば上手くいくのかを知りたい方に向けて、役立つ情報をご紹介します。
1. 外壁塗装のDIYは可能か
外壁塗装のDIYは、専門の業者に依頼するよりも時間がかかるかもしれませんが、十分可能です。
ただし、プロの作業と比べると品質に差が出る可能性があります。実際に後悔しないためにも、事前に外壁塗装のDIYについてのメリットとデメリットを見て判断していきましょう。
2. 外壁塗装のDIYのメリット・デメリット
外壁塗装をDIYで行なうことの最大のメリットはやはり、コストの削減。業者に依頼するよりも費用が抑えられることがDIYの大きな魅力です。一方でデメリットとしては、専門的な知識や技術の不足からくる品質の問題や、物理的な危険を伴う作業が挙げられます。以下で詳しくご紹介していきます。
2-1. メリットの詳細説明
- コスト削減:専門業者に依頼すると、その技術と時間に対する費用がかかります。
DIYでは、その費用を一般的に半額程度まで削減できると言われているため、経済的にメリットを実感しやすいでしょう。 - スキルが身に付く:外壁塗装を自分で行なうことで、塗装技術をスキルとして学ぶことができま
す。慣れれば軽微な修繕などを自分で行えるようになるため経済的です。 - 思い立ったときにすぐできる:プロの業者に依頼した場合、日程がうまく合わず、工事日が先に延
びてしまうことがあります。外壁の状態が気になる場合、DIYであれば即自分で行なうことができます。
2-2. デメリットの詳細説明
- 仕上がりの質:専門知識や経験が少ない場合、仕上がりの品質に問題が出る可能性があります。
これには、塗装の均一性が保てない、耐久性が低いなどが含まれます。 - 慣れない作業リスク: 高所での作業や専門的な工具の使用は、落下や怪我のリスクを伴います。
不測の事故が起こらないよう、安全対策をしっかりと取り、最新の注意を払って臨みましょう。 - 工事時間が延びる可能性:専門業者に比べて作業効率が低いため、同じ作業を行なうのにより多くの時間が必要になることがあります。忙しい日常の中で、この時間を確保するのが難しい場合もあるでしょう。工事の前には、余裕を持ったスケジュール調整を行なうことをおすすめします。
3. 外壁塗装DIYの準備
外壁塗装のDIYにおいては、事前準備が何よりもの鍵。外壁塗装DIYに必要な道具と塗料をしっかり選び、備えておくことが大切です。
3-1. 必要な道具
- 養生用ビニール:塗装しない場所や周囲の物を保護するために使用します。
例えば、窓や扉、庭の植物など塗料がかからないように覆います。 - サンドペーパー、ナイロンタワシ、ハンドパット、ワイヤーブラシ:塗装前の表面処理に使用します。サンドペーパーで粗い部分を滑らかにし、ナイロンタワシやハンドパットで表面を清掃、ワイヤーブラシで錆や剥がれた古い塗料を除去します。
- 刷毛(大きさの異なる2,3本):塗料を塗るために使用します。
異なるサイズを用意することで、大きな面も細かい部分も効率良く塗装できます。 - ローラー、ローラートレイ:大きな面を塗装する時に使用します。
ローラートレイに塗料を入れ、ローラーで塗料を適量取りながら均一に塗布します。 - 下塗り塗料、上塗り塗料:塗装の基本となる塗料です。
下塗り塗料で下地を整え、上塗り塗料で仕上げます。 - コーキング・シーリング:ひび割れや隙間を埋めるために使用します。
防水性や耐久性を向上させる効果があります。 - 高圧洗浄機:塗装前の外壁の汚れや古い塗料を効率良く落とすために使用します。
- 作業服、作業靴:塗装作業中の汚れや怪我から身を守るために必要です。
作業服は汚れても良いものを、作業靴は滑りにくく安全なものを選びましょう。
3-2. 必要なペンキ
塗料は下塗り用と上塗り用の二種類が基本。下塗り用の「シーラー」で塗料の吸収を防ぎ、上塗り用の「フィラー」で表面を滑らかにします。以下でそれぞれの塗料の代表的な種類と特徴をご紹介していきます。
3-3. 下塗り用塗料(シーラー)の種類と特徴
①水性シーラー
- 特徴:外壁に吸収されやすく、劣化が少ない箇所への使用が推奨されます。ヒビや傷がない外壁に適しており、乾燥に数時間が必要です。環境にやさしいというメリットもありますが、劣化が進んだ箇所に使用すると、傷の中に入り込んでしまうことがあるため注意が必要です。
- 使用場所:劣化が少ない、比較的状態の良い外壁
②油性シーラー
- 特徴:傷のある外壁や劣化の激しい箇所に塗っても吸収されにくいため、そういった状況での使用に適しています。乾燥時間は30~60分と短いですが、においが強いというデメリットがあります。耐久性と密着性が高いため、激しい劣化を修復するのに適しています。
- 使用場所:劣化が進んだ箇所や傷が目立つ外壁
3-4. 上塗り用塗料(フィラー)の種類と特徴
①ウレタン塗料
- 特徴:ウレタン塗料は弾性や伸縮性に優れているため、温度変化による伸縮や建物の微細な動きに対応できます。また、耐候性にも優れており、色あせや塗膜の劣化が少ないです。ただし、紫外線に弱く、耐用年数は5~10年程度とされています。
- 使用場所::外壁塗装や屋根塗装など、外部のさまざまな場所に適しています。
②アクリル塗料
- 特徴:アクリル塗料はカラーバリエーションが豊富で、DIYにも手軽に使える塗料です。価格が比較的安価で、水性塗料のため扱いやすく、乾燥も早いです。しかし、耐久性はウレタンやシリコンに比べると劣り、耐用年数は3~8年程度です。
- 使用場所:室内外の壁面や木部など、幅広い用途に使えます。
③フッ素塗料
- 特徴:フッ素塗料は非常に高い耐候性を持ち、色あせや塗膜の劣化がほとんどありません。汚れにくく、清掃性に優れているのが特徴です。価格は高めですが、耐用年数は12~20年と長寿命です。
- 使用場所:高級住宅や公共施設など、長期間のメンテナンスフリーを求める場所に適しています。
④シリコン塗料
- 特徴:シリコン塗料は耐熱性や耐水性に優れ、汚れが付きにくく、耐久性が高いです。耐用年数は7~15年程度で、コストパフォーマンスに優れています。また、色の保持能力が高く、美観を長期間保つことができます。
- 使用場所:住宅の外壁や屋根など、外部環境の影響を受けやすい場所に適しています。
4. 外壁塗装のDIY手順
準備すべき道具を押さえたら、次はいよいよDIY手順を見ていきましょう。手順を間違えると、お金や時間ばかりでなく、家の美観を損なうことにも繋がりかねません。手順をシミュレーションしたうえで、DIYに臨んでくださいね。
4-1. 洗浄
高圧洗浄機を使用し、壁面の汚れや古い塗料を取り除きます。これにより、新しい塗料の密着を良くし、耐久性を高めます。
4-2. 下地補修
ひび割れや剥がれがある場合は、これらを修正し、滑らかな表面を作ります。これは、均一で耐久性のある仕上がりに不可欠です。
4-3. 養生
塗装しない部分には、マスキングテープやビニールを使用して保護します。これは塗料の飛び散りから窓やドアを守るためです。
4-4. 塗装(下塗り)
シーラーやフィラーを基本として塗り、素材を保護し、上塗り塗料の密着を良くします。
4-5. 塗装(中塗り・上塗り)
下塗りと同じ塗料を使用して中塗りを行い、その後、上塗りを丁寧に施します。これにより、美観と耐久性が確保されます。
5. 外壁DIYにありがちな失敗
知識があれば、失敗は未然に防げます。仕上がりのムラ、塗膜剥離、膨張、白濁など、よくある失敗を学びましょう。
5-1. 仕上がりのムラ
不均一な塗りや塗料の混ぜ方が原因。塗装前に塗料を十分にかき混ぜ、均一な厚さで塗ることが重要です。
5-2. 塗膜剥離
多くの場合、下地の不十分な処理、下塗り塗料の塗布不足、湿気が原因。下地処理を丁寧に行ない、湿度の低い日を選んで塗装することが対策です。また、こうしたトラブルを避けるためには下塗り用と上塗り用の塗料のメーカーを揃えるのもおすすめです。
5-3. 膨張
水分や空気が塗料内に閉じ込められることが原因。塗装時の気温や湿度に注意し、適切な条件で作業を行なってください。一般的には、5℃以下の低温や、35℃以上の高温での塗装は避けた方が無難。また、湿度が高すぎる日(80%以上)に塗装作業をすると、塗膜の乾燥に悪影響を与える可能性があります。
理想的な塗装条件は、気温が10℃〜30℃、湿度が50%〜70%の範囲内です。
5-4. 白濁
水性塗料に水が混入したり、高湿度で塗装したりすることが原因。塗膜が乾燥する前に水分の影響を受けると水分を吸収し、塗料に戻ってしまう可能性があります。塗料の種類を正しく選び、適切な気候条件で塗装しましょう。
6. まとめ
外壁塗装のDIYは、成功すればお財布にもやさしく、自分だけの達成感が味わえるプロジェクト。ただし、そのためにはしっかりとした下準備と知識が必要です。ぜひ準備を万全に行なったうえで、納得のいく家の外観作りに挑戦してみてくださいね。