
ガルバリウム鋼板は、外壁や屋根材として非常に人気の高い建材です。とくにその耐久性やデザイン性が評価され、多くのリフォームや新築工事に採用されています。
この記事では、ガルバリウム鋼板の特性、メリット、デメリットについて詳しく解説します。
1. ガルバリウム鋼板は錆びないって本当?

ネット上でガルバリウム鋼板は「錆びない」「耐用年数が長い」といった評判が広まっていますが、実際にはどうなのでしょうか?
答えはNOです。
ガルバリウム鋼板は錆びることがありますし、メンテナンスフリーというわけでもありません。耐用年数は10~20年程度で、適切なメンテナンスが必要です。
では、ガルバリウム鋼板とは一体どのような素材なのでしょうか?
2. ガルバリウム鋼板とは?
ガルバリウム鋼板は、1972年にアメリカで開発された金属素材です。金属鋼板をアルミニウム、亜鉛、シリコンでめっきしたもので、「アルミ亜鉛合金めっき鋼板」とも呼ばれます。
近年では、ガルバリウム鋼板の約3倍の耐食性を持つ「次世代ガルバリウム鋼板(SGL)」も登場し、注目を集めています。
3. ガルバリウム鋼板のメリット

ネット上では性能の良さを誇張しすぎているきらいがありますが、確かにガルバリウム鋼板は優れた外壁材であるといえます。ここではガルバリウム鋼板のメリットを見ていきましょう。
3-1. 耐久年数が長い
ガルバリウム鋼板の耐久年数は20~30年以上。
定期的なメンテナンスを行なうことで、40年以上使用することも可能です。同じ金属性の建材であるトタンは10~20年と短く、ガルバリウムの耐久性の高さがうかがえます。ただし、サビから生じる穴あきを防ぐため、15年に1回のスパンでメンテナンスする必要があるでしょう。
3-2. サビに強い
ガルバリウム鋼板は金属製建材の中でもとくにサビに強いです。トタンやアルミに比べてサビにくさは数倍以上。外壁に見えるサビは美観を損ねるため、サビに強いという点は重要です。
3-3. 耐震性が高い
ガルバリウム鋼板は非常に軽い建材で、建物の耐震性向上に貢献します。重い建材ほど建物に負荷がかかり地震の揺れを強く感じやすくなるため、耐震を考える上でガルバリウム鋼板の軽さは大きなメリットといえるでしょう。
3-4. スタイリッシュな雰囲気を楽しめる
ガルバリウム鋼板は凹凸をつけたデザインやさまざまなカラーバリエーションがあり、エクステリアにマッチするものを選びやすいのも特徴です。落ち着いたブラウン、シックなブラック、インダストリアルな雰囲気のシルバーなど、理想のイメージに合うものを選ぶことができます。
3-5. ひび割れしにくい
ガルバリウム鋼板は金属素材のため、ひび割れが起こりにくい建材です。地震や寒冷地域での凍結にも強いので、長期間にわたって美しい外観を保てます。
4. ガルバリウム鋼板のデメリット

以上まではガルバリウム鋼板のメリットをご紹介してきましたが、デメリットはどんなところにあるのでしょうか?以下で、注意すべき点をご紹介していきます。
4-1. 施工が難しい
ガルバリウム鋼板は塗料が付着しづらいため、専門的な板金技術が必要です。また、サビには強い一方で薄い建材であるため傷に弱く、一度傷つけたらそこから腐食が進んでしまう恐れも。施工過程での取り扱いは、手慣れたプロにお任せするのがおすすめです。
4-2. 窯業系サイディングよりデザインの幅が狭い
ガルバリウム鋼板はシンプルでスタイリッシュなデザインが特徴ですが、窯業系サイディングを基準に考えるとデザインの選択肢はやや狭まります。エクステリアのイメージが固まっている人は、理想に近いものを選ぶのに苦労するかもしれません。
4-3. 凹みやすい
薄さが特徴のガルバリウム鋼板は衝撃に弱く、凹みやすいことも特徴です。子どもが遊ぶ場所や車庫周りなど、衝突が考えられる場所に置くとリスクが高まることは念頭に置いておきましょう。
4-4. 錆びることがある
ガルバリウム鋼板はサビに強いですが、全く錆びないわけではありません。沿岸部などでは金属が潮風の影響を受けて錆びやすくなるため、定期的なメンテナンスが必要です。
詳しくは「6. メンテナンス方法」をご覧ください。
4-5. 断熱性が低い
ガルバリウム鋼板は薄い金属建材であるため熱を通しやすく、断熱性は低いといえるでしょう。ただしあらかじめ断熱材一体型の建材を選べば、断熱性だけでなく遮音性も期待することができます。
5. ガルバリウム鋼板の費用相場

ガルバリウム鋼板の施工価格は1㎡あたり5,000円~10,000円です。縦葺き用と横葺き用で価格が異なり、縦葺き用の方が安い傾向にあります。縦葺きの施工価格は5,000円~8,000円/㎡、横葺きは6,500円~10,000円/㎡です。
6. メンテナンス方法
ガルバリウム鋼板の日常的なメンテナンスは、年に1~2回程度の水洗いが基本です。
とくに、雨がかかりにくい軒下やバルコニー下は重点的に水をかける必要があります。これによってガルバリウム鋼板の錆の原因となる塩分やほこりを洗い流すことができます。潮風に当たる沿岸部や酸性雨の影響を受けやすい地域では、1~2か月に1回程度の頻度で水洗いを行なうとよいでしょう。
7. まとめ
ご自身のニーズに、ガルバリウム鋼板はマッチしそうですか?
ガルバリウム鋼板はメンテナンスが簡単で耐久性の高い建材ですが、その特性を最大限に発揮するには適切なメンテナンスを行なうことが重要。お住まいの地域の気象条件やデザインの好みなどから、選択を検討してみてくださいね。