手洗いや料理、お風呂まで、私たちの生活になくてはならない水道の蛇口。生活に深く関わっているからこそ、交換をするとき素早く、そしてなるべく費用を抑えたいですよね。この記事では、蛇口交換に費用をかけたくない方、自分の好みの蛇口に変更したい方に向けて、蛇口のDIYについて詳しく紹介します。ぜひ実際に蛇口のDIYをするときに役立ててみてください。
1. 蛇口交換の基本知識
ご自分で蛇口交換を行う前に、まずは蛇口の基本知識を頭に入れておきましょう。実際にDIYする場合や業者に依頼する場合にも、スムーズに理解することができますよ。
1-1. 蛇口の寿命
蛇口の寿命は約10年から15年程度と言われています。それを超えると劣化によって水漏れが起こる可能性が高まります。そのため、寿命が来たら蛇口の一部分を交換するのではなく、全体を交換するのがおすすめです。
1-2. 水漏れしていても交換する必要がない場合も
蛇口本体の故障と思われがちな水漏れですが、実はパッキンの劣化やナットの緩みなど接続部分に隙間ができることで起こることも。このような場合、蛇口交換ほどお金がかからず、部品のメンテナンスだけで水漏れを解消することができる可能性もあります。水漏れが原因で蛇口交換を検討している方は、一度蛇口本体以外に水漏れの原因がないか確認してみるとよいでしょう。
2. 蛇口の種類(キッチン編)
ひと口に“蛇口”と言っても、その種類はさまざまです。以下でキッチンでよく使用される蛇口の種類をご紹介していきましょう。現在お使いのものを取り替える際や、新しいものを選ぶ際などにぜひ参考にしてみてください。
2-1. 壁付きタイプ
壁付きとは、壁に直接取り付けられているタイプの蛇口を指します。壁付き蛇口はスペースが節約できたり、清潔感が保てたりする一方で、取り付け場所の制限や取り外しの難しさなどの課題も考慮する必要があります。利用する場所や環境に合わせて、適切な蛇口を選択することが重要です。
【メリット】
①スペース節約
台付き蛇口と比較して、壁に取り付けられるため、カウンターや洗面台の上に蛇口が設置される必要がなく、スペースを節約できます。特に狭いスペースやコンパクトなキッチンやバスルームに適しています。
②清潔感
台付き蛇口よりも取り付け場所が高い位置にあるため、洗面台や流し台の周囲がより清潔に保たれる傾向があります。地面やカウンターに付着する汚れや水しぶきを最小限に抑えることができます。
③デザイン性
壁に取り付けることで、洗面台や流し台のデザインを妨げることなく、シンプルでスタイリッシュな外観を実現できます。部屋全体のデザインに調和しやすいという利点があります。
【デメリット】
①取り付け場所の制限
壁付き蛇口は壁に直接取り付けるため、取り付ける場所が限定されます。特に既存の設備や配管に合わせて蛇口を配置する場合には、制約が生じることがあります。
②配管工事が必要
壁に蛇口を取り付けるためには、適切な位置に配管を設置する必要があります。こちらは壁の穴あけや配管工事が必要になる場合もあります。
③取り外しが難しい
台付き蛇口と比較して、壁付き蛇口の取り外しや交換は少々手間がかかります。壁への取り付けや配管が行われているため、取り外す際には専門知識や工具が必要になることがあります。
2-2. 台付タイプ(ワンホール/ツーホール)
台付きタイプの蛇口とは、キッチンカウンターの上に台座があり、その上に蛇口が設置されている構造のものを指します。
また、「ワンホール」と「ツーホール」とは、蛇口の取り付け穴の数を表す用語です。
「ワンホール」は文字通り、蛇口を取り付けるための穴がひとつしかないタイプです。一般的に、この形状はシンプルで使いやすく、キッチンのスペース効率が良いとされます。
また、「ツーホール」とは蛇口を取り付けるための穴が二つあるタイプです。画像のような形状のほか、ひとつは蛇口用で、もうひとつはスプレーヘッドやサイドスプレーヤーなどの付属品用である場合もあります。このタイプは多機能であり、キッチンの作業効率を高めることができます。このように、台付き蛇口と穴の数によって、キッチンの使い勝手やデザイン性が異なる特徴があります。
【メリット】
①取り付け場所の自由度が高い
キッチンカウンター上のお好みの場所に設置できます。これにより、キッチンのレイアウトやデザインに合わせて、最適な位置に蛇口を配置することができます。
②洗いやすさ
台座の周囲が広く開放されているため、洗剤やスポンジで周囲を簡単に拭き取ることができます。これにより、清潔な状態を維持しやすくなります。
③操作のしやすさ
一般的にレバーやノブが台座に取り付けられており、手軽に水の流量や温度を調節することができるため操作が容易です。
④デザイン性が高い
多様なデザインやスタイルがあります。キッチンのインテリアやテーマに合わせて、好みのデザインを選択することができるため、こだわりのある人にはとくにおすすめです。
【デメリット】
キッチンカウンター上のスペース占有面積が広くなってしまうことにあります。そのため、作業スペースが狭くなり、調理や準備作業に制限が生じる場合があります。
3. 蛇口の種類(お風呂編)
3-1. 壁付き水栓
壁付き水栓は、お風呂やキッチンなどの洗面台や流し台などの壁に直接取り付けられる水道設備のことを指します。壁付き水栓は、美しい外観と清潔感が特徴であり、空間を広く見せる効果があります。また、台の上に水栓がないためスペースを取らずに利用できることが多いです。しかし、壁への取り付けには時間がかかる場合があり、加えて壁に直接取り付けるため、取り付け場所によってはレイアウトの制約があることも考慮すべきです。
【メリット】
① 空間利用の最適化
カウンターの上や周辺をすっきりと保つことができ、限られたスペースを効果的に活用できます。これにより、特に小さなバスルームやキッチンで、より広い作業スペースを確保できるという利点があります。
② 清潔さとメンテナンスの容易さ
カウンタートップに水栓がないため水はねや汚れが壁面に集中しやすく、カウンターの清掃が簡単になります。また、水栓の周囲がすっきりしているため日々のメンテナンスがしやすくなるのも特徴です。
③ デザイン性の向上
モダンで洗練された印象を与え、バスルームやキッチンのデザインを引き立てます。さまざまなスタイルや仕上げが選べるため、インテリアに合わせたカスタマイズが可能です。
【デメリット】
① 取り付けとリモデルの複雑さ
壁内に配管を設置する必要があるため、取り付けや将来的なリモデルが床付きタイプに比べて複雑かつ時間がかかります。特に既存の建物に後から設置する場合に顕著です。
② 修理とメンテナンスの難易度
壁内に配管があるため漏れや故障が発生した際の修理が困難で、修理費用が高くなる可能性があります。また、専門的な知識が必要な場合が多く、DIYが難しい場合があります。
③ コストの高さ
取り付けには、通常、床付きタイプよりも高額な初期投資が必要です。これは、壁の改修や専門的な配管作業、高価な水栓自体のコストに起因します。また、デザイン性が高い製品ほど価格が上昇する傾向にあります。
3-2. デッキ水栓
デッキ水栓は、その名の通り、洗面台や流し台などの台(デッキ)の上に取り付けられる水道のことを指します。一般的には、シンクや流し台の上に設置され、台の表面から蛇口が突き出る形状となっています。
使いやすさとメンテナンスのしやすさが特徴であり、レイアウトやデザインに合わせて自由度が高い一方で、設置時のレイアウトやスペース制約などの考慮が必要です。
【メリット】
①使いやすさ
台の上に直接取り付けられているため、水を使用する際にスムーズに操作することができます。洗面台や流し台の上に設置されているため、水の取り扱いが簡単で日常の使用に便利です。
②メンテナンスのしやすさ
取り外しや清掃が比較的容易であり、メンテナンスがしやすいのもデッキ水栓の利点です。台の上に設置されているため、水栓の周囲に簡単に手が届き、掃除や修理作業がスムーズに行えます。
③デザインの自由度
台の上に設置されるため、レイアウトやデザインに柔軟性を持たせることができます。水栓の位置や台の形状に応じて、自由に配置することができるため、お好みや使いやすさに合わせて選択できます。
【デメリット】
①レイアウトの必要性
取り付ける際には、お風呂やキッチンのレイアウトや設計に合わせて位置を決定する必要があります。特に既存のレイアウトにデッキ水栓を追加する場合には、配管や水栓の配置を考慮する必要があります。
②スペースの制約
台の上に水栓を取り付けることで、台の利用可能なスペースが一部制約される場合があります。水栓が台の上に設置されるため、その周囲のスペースが水栓によって占有されることがあります。
③デザインへの影響
台の上に水栓が設置されることで、デザインに影響を与える場合があります。水栓の形状や色、素材などが、全体のデザインに適合するように考慮する必要があります。
4. 蛇口の種類(洗面所編)
4-1. 台付タイプ(ワンホール/ツーホール)
2-2. 台付タイプ(ワンホール/ツーホール)でご紹介した通り、台付タイプの中のワンホールとツーホールは、台の上に取り付けられている水道設備で、穴の数によって呼び分けられます。
ワンホールとツーホールは、それぞれスッキリしたデザインと温度調節のしやすさが特徴ですが、洗面器の選択肢や取り付けスペースなどに違いがあります。使用する場所や好みに合わせて、適切な水栓を選択することが重要です。
ワンホール
【メリット】
①スッキリしたデザイン
ひとつの穴から水栓が突き出るシンプルなデザインが特徴です。これにより、洗面台や流し台のスペースをすっきりとした印象にすることができます。
②掃除がしやすい
空間がスッキリしているため、掃除がしやすいという利点があります。水栓周りの汚れや水垢を取り除きやすく、清潔に保つことができます。
【デメリット】
ひとつの穴から水が出るため、洗面器の選択肢が制限される場合があります。特定の形状やサイズの洗面器にのみ対応することがあります。
ツーホール
【メリット】
①温度調節がしやすい
温水と冷水の蛇口が別々の穴から出るため、温度調節がしやすいという利点があります。洗面器との相性を考慮しながら、お好みの温度に調節することができます。
②洗面器との相性が良い
温度調節がしやすいため、洗面器との相性を考慮しやすく、好みのデザインやサイズの洗面器を選ぶことができます。
【デメリット】
①取り付けにスペースが必要
温水と冷水の蛇口が別々の穴から出るため、ワンホール水栓よりも大きいことが一般的です。そのため、取り付けに十分なスペースが必要となります。
②デザインがワンホールよりも大きいことが多い
温水と冷水の蛇口が別々の穴から出るため、一般的にデザインがワンホール水栓よりも大きくなる傾向があります。そのため、洗面台や流し台のデザインに合わせて選択する必要があります。
4-2. コンビネーション水栓
コンビネーション水栓は、蛇口とハンドル部分の設置場所がわかれている蛇口のことを指します。一般的に、二つの蛇口がひとつのユニットとして設置され、一つは温水、もう一つは冷水を供給します。これにより、台の上には独立した温水用と冷水用の蛇口が並ぶことなく、スッキリとした外観を実現できます。
【メリット】
①分離された蛇口
台に取り付けられた本体と、それぞれが温水と冷水を供給する蛇口が完全に分離されています。これにより、温水と冷水を同時に操作することができます。
②スペース節約
2つの蛇口が一体化されているため、単独の蛇口よりもスペースを節約することができます。特に狭いスペースやコンパクトな台に適しています。
③スタイリッシュなデザイン
2つの蛇口が一体化されたデザインが特徴であり、洗面台や流し台などの台に取り付けることでスッキリとした外観を実現します。
【デメリット】
取り付けが通常の蛇口よりもやや複雑な場合があります。
これは、2つの蛇口が一体化されているため、台に適切に取り付けるためには配管や取り付け方法に関する専門的な知識が必要とされるからです。
また、温水と冷水の配管を正しく接続する必要があるため、取り付け作業には慎重さが求められます。
そのため、コンビネーション水栓の取り付けを行う際には、専門家やプロの配管工に相談したり、取り付け作業を委託したりすることが推奨されます。
5. 蛇口交換の流れ
種類や蛇口が設置されている場所によって、蛇口の交換手順は少し異なります。今回は蛇口交換の基本的な手順について紹介するため、ざっくり順序を把握するのにご参考ください。
【準備するもの】
・取り換え用の新しい蛇口
・シールテープ:配管のすき間を埋め、水漏れを防ぐために巻くテープ
・古歯ブラシ:蛇口などの汚れを落とすために使用
・スパナ(モンキーレンチ):蛇口の取り付けや取り外しに使用
・雑巾:蛇口などの汚れを落とすために使用
・ドライバー:ネジを巻くときに使用
5-1. 水の元栓を閉める
蛇口交換前に必ず水の元栓を閉めて水の供給を止めます。水の供給を止めない場合、交換中に水漏れが発生し、床や壁などに被害が及ぶ可能性があります。水漏れを起こさないためにも、必ず作業前に水の供給を止めましょう。
5-2. 古い蛇口を取り外す
まず、古いホースを取り外します。次に古いホース本体を取り外します。交換作業中には、水漏れや配管の破損などのリスクがあるため、慎重に行うことが重要です。
5-3. 掃除をする
蛇口を外した後は、周囲の汚れや古いシーリング材を取り除く必要があります。キッチンの蛇口についたカビや水垢を落とすために、重曹が有効であることが多いです。重曹を使う場合は、重曹と水を混ぜてペースト状にし、蛇口に塗り、歯ブラシなどで軽くこすります。その後、水で洗い流します。
また、カビ汚れには重曹を使う方法や、油汚れには歯磨き粉を使用する方法がおすすめです。とくに歯磨き粉を使った蛇口の掃除については、手軽で汚れが落ちやすいため、身の回りにあるもので掃除を行いたい方にも適しています。
5-4. 新しい蛇口を取り付ける
新しい蛇口を取り付け、ホースを取り付けて固定します。ホースを固定する際には、適切な工具を使用してしっかりと固定することが重要です。ホースが緩んだり、不適切に取り付けられると水漏れの原因になりますので、注意して作業しましょう。
以上の手順に従うことで、比較的簡単に蛇口の交換作業を行うことができます。水漏れや配管の破裂のリスクもあるため、適切な工具や技術がない場合には専門家に依頼することが重要です。
6. 費用の参考
蛇口交換の費用は材料費と工賃を合わせて約10,000円以上かかることが一般的です。ただし、蛇口の種類や素材、機能、デザインやブランドなどによって大きく変動します。とくに機能に節水機能や温水供給機能など追加機能がついている場合には、価格が高くなる傾向があるでしょう。
【蛇口本体の値段の目安】
・壁付け蛇口:10,000円から50,000円
・台付け蛇口:5,000円から40,000円
・ワンホール蛇口:3,000円から50,000円
・ツーホール蛇口:4,000円から70,000円
・デッキ蛇口:9,000円から70,000円
・コンビネーション蛇口:5,000円から90,000円
DIYで失敗してしまうと修理により多くの費用が掛かることが予想されます。不安がある方は事前に専門家に相談することをおすすめします。
7. まとめ
以上、蛇口交換の基本的な手順や種類についての紹介です。初めてのDIYに挑戦する際には慎重に作業を進め、必要な情報を事前に確認することが大切です。けがや故障に十分に気を付けながら、DIYを楽しんでください。
もしお困りの際は、ぜひ【おうちのアラート】までご相談くださいね。