引っ越しの際に「プロパンガスで都市ガス用のガスコンロをそのまま使えるの?」と疑問に思ったこと、ありませんか?ガス種が異なるコンロの使用は安全面で注意が必要です。
この記事では、ガス種が違う場合のリスクや対処法、都市ガスとプロパンガスの違いや選び方についてわかりやすく紹介します。
1.プロパンガスで都市ガス用のコンロを使用できる?
結論から述べると、プロパンガスで都市ガス用のコンロを使用することはできません。また、その逆の場合も同じで、都市ガスでプロパンガス用のコンロを使用することもできません。
ガスコンロは、使用するガスの種類(都市ガスまたはプロパンガス)に対応した製品を選ぶ必要があります。誤った組み合わせで使用すると、重大な事故につながる可能性がありとても危険です。
ここでは、ガス種が異なるコンロの使用に関する注意点と対処法を解説します。
1-1.コンロの種類とガス種が異なると危険
都市ガス用のコンロをプロパンガスで、またはその逆で使用すると、以下のリスクがあります。
- 異常燃焼による火災の危険性:ガスの供給圧力や熱量が異なるため、適切な燃焼が行われず、火災の原因となる可能性があります。
- 一酸化炭素中毒のリスク:不完全燃焼が発生し、一酸化炭素が発生することで中毒の危険性が高まります。
- 機器の故障:設計と異なるガスを使用することで、コンロ自体が故障する可能性があります。
これらの理由から、ガス種が異なるコンロの使用は非常に危険であり、絶対に避けるべきです。
1-2.ガス種に合うガスコンロに買い換える
最も安全で確実な対処法は、使用しているガスの種類に適合したガスコンロに買い換えることです。購入時には、製品のラベルや取扱説明書で対応するガス種を確認しましょう。また、型番の末尾に「LP」や「12A・13A」といった表示があり、これらでガス種を判別できます。
1-3.ガスコンロの部品交換とその費用
既存のガスコンロを使用したい場合、ガス種に合わせて部品交換を行うことで対応可能な場合があります。しかし、この作業はメーカーや専門業者による対応が必要で、費用も高額になることが多いです。
ガスコンロの機種やメーカーによって費用は異なりますが、出張費・作業費・部品費を含め、合計で約1万円〜2万円ほどが相場となっています。
ガスコンロのグレードによっても異なりますが、安いものだと2万円弱で新品のガスコンロが買えることを考えると、部品交換よりも買い替える方が結果的にコスパは良いと言えます。また、部品交換をしたとしてもガスコンロ自体は経年劣化していくため、10年近く使用したガスコンロであれば新しく買い替えることをおすすめします。
このように、既存のガスコンロを部品交換して使用するか、新しく買い替えるか、長期的にどちらの方が費用を抑えられるかを比較した上で、ガスコンロの設置を検討しましょう。
なによりも安全性を最優先に考え、ガス種に適したガスコンロを使用することが大切です。
2.都市ガスとプロパンガスの違い
2-1.都市ガスとプロパンガスの特徴
都市ガスとは
都市ガスはメタンを主成分としており、主に都市部で供給されています。このガスは管網を通じて直接家庭やビルに届けられるため、供給が安定しています。また、燃焼時のCO2排出量が比較的少ないことから、環境に優しいエネルギー源として注目されています。
プロパンガス(LPガス)とは
一方、プロパンガスは液化石油ガスの一種で、ボンベに詰められて供給されるのが特徴です。都市部以外の地域や、都市ガスの供給網が届かないエリアで主に使用されています。プロパンガスの大きな利点は、高カロリーで強い火力を得られることです。これにより、料理の際には力強い火力を活用することができます。
都市ガス | プロパンガス | |
---|---|---|
メリット | ・料金が安い(使用量に応じて安価) ・インフラが整備されている地域では安定供給が可 | ・導入可能地域が広い(地方や山間部でも利用可能) ・災害時に復旧が早い |
デメリット | ・導入可能な地域が限定されている ・災害時に供給停止が起こりやすい | ・料金が高い(使用量に応じて割高になることが多い) ・業者によって価格差が大きい |
2-2.都市ガスとプロパンガスの違い
都市ガスとプロパンガスには、それぞれ特徴的なメリットとデメリットがあります。利用者の住む地域や用途に応じて最適なガスを選ぶことが重要です。また、料金や供給方法、設置のしやすさなどを総合的に検討することで、より快適で安全なガス利用が可能となります。
都市ガス | プロパンガス | |
---|---|---|
成分 | 主にメタンを含む天然ガス 熱量が比較的低い(11,000kcal/m³程度) | 主にプロパンやブタンを含む 熱量が高い(24,000kcal/m³程度) |
供給方法 | ガス管を通じて家庭や施設に直接供給される | ボンベやタンクを各家庭や施設に設置して供給される |
ガス料金 | 使用量に応じて料金が変動し、比較的安価 | 業者によって料金が変動し、割高になる場合が多い |
重さ | 空気より軽い(漏れても上方に拡散する) | 空気より重い(漏れると低い場所に滞留しやすい) |
成分
都市ガスは主にメタンを主成分とする天然ガスで構成されています。都市ガスは環境に優しいとされ、燃焼時に発生する二酸化炭素の量が少ない点が特徴です。ただし、熱量は比較的低く、約11,000kcal/m³程度となります。
プロパンガスは、プロパンやブタンを主成分としており、都市ガスよりも高い熱量(約24,000kcal/m³程度)を持っています。このため、少量でも効率的に強い火力を得られる特徴があります。一方で、燃焼時に発生する二酸化炭素量が都市ガスよりやや多いとされています。
供給方法
都市ガスは、都市部やインフラが整備された地域でガス管を通じて直接供給されます。供給の安定性が高い反面、利用できる地域が限られており、ガス管が通っていない地域では使用できません。
プロパンガスは、ボンベやタンクに充填されたガスを各家庭や施設に設置して供給されます。このため、インフラが整備されていない地域でも利用可能で、地方や山間部では主にプロパンガスが選ばれることが多いです。また、災害時にはボンベを移動して供給することで、復旧が都市ガスよりも早いとされています。
ガス料金
都市ガスの料金は使用量に応じて変動し、一般的にはプロパンガスより安価とされています。供給業者が公共料金に準じた料金体系を採用しているため、価格の変動が少なく、利用者にとって安心感があります。
プロパンガスは業者ごとに料金が設定されるため、価格差が大きい点が特徴です。基本料金と従量料金で構成されており、プロパンガス業界では市場価格や契約内容によって料金が大きく異なるため、事前に比較検討が必要です。
都市ガス (単位:円/m3) | プロパンガス (単位:円/kg) | |
---|---|---|
基本料金 | 800円~1,200円 | 1,000円~2,500円 |
従量料金 | 150円~250円 | 400円~700円 |
平均月額料金 (家庭用) | 約3,500円~5,000円 | 約7,000円~12,000円 |
・上記の料金はあくまで一般的な参考値であり、実際の料金は地域や供給会社によって異なります。
・都市ガスの料金は立方メートル単位、プロパンガスの料金はkg単位で計算されるため、直接的な比較は難しいことに注意が必要です。
・平均月額料金は、一般的な家庭の使用量を基に算出されたおおよその金額です。
重さ
都市ガスは空気よりも軽く、万が一漏れた場合でも上方に拡散する性質があります。このため、換気を行うことで迅速に安全を確保できる点が利点です。
プロパンガスは空気より重いため、漏れると低い場所に滞留しやすい性質があります。そのため、プロパンガスを利用する場合は、特に床下や低い場所の換気に注意する必要があります。また、この特性を考慮し、ガス漏れ警報器の設置が推奨されます。
3.ガスコンロの基礎知識と選び方
3-1.ガス種別のガスコンロの特徴
ガスコンロは、使用するガスの種類によって「都市ガス用」と「プロパンガス(LPガス)用」に分かれています。それぞれの特徴を理解し、適切な製品を選びましょう。
都市ガス用のガスコンロ
- ガスノズルの口径
- 都市ガスは低圧で供給されるため、ガスノズルの口径がプロパンガス用と比べて大きく設計されています。これは、ガスの供給圧力が低い分、ガスを多く取り入れる必要があるためです。
- 火力の調整
- 火力がプロパンガス用に比べてやや低い設定になっていますが、調理に十分な火力を提供します。一般家庭での調理用途に適したバーナー構造を持っています。
- 対応地域が限定される
- 都市ガス用コンロは、ガス管が引かれている地域でのみ使用可能であり、引っ越し先のガス種に対応しているか確認が必要です。
- 設置環境に合わせた種類
- テーブルコンロからビルトインコンロまで、さまざまな種類があり、住宅設備に合わせた選択が可能です。
プロパン用のガスコンロ
- ガスノズルの口径
- プロパンガスは高圧で供給されるため、ガスノズルの口径が都市ガス用よりも小さく設計されています。これは、高い圧力でも適切な量のガスを供給するためです。
- 火力の調整
- プロパンガスの高い熱量を活かして、火力が強い設計になっています。特に強火調理を重視する家庭では、プロパンガス用コンロが好まれる場合があります。
- 取り扱いの柔軟性
- プロパンガス用コンロは、ボンベやタンクで供給されるため、都市ガスが整備されていない地域でも使用可能です。引っ越し時にはボンベ交換や調整が可能で、設置場所に柔軟に対応できます。
- 選択肢の豊富さ
- プロパンガス用コンロも都市ガス用同様に、テーブル型やビルトイン型など多様な製品ラインナップがあります。
3-2.ガスコンロのガス種の見分け方
ガスコンロの対応ガス種は、製品本体や取扱説明書に明記されています。以下の方法で確認できます。
- 製品ラベルの確認:ガスコンロ本体に貼付されているラベルに、「都市ガス用」や「LPガス用」などの表示があります。
- ガスホースの色:都市ガス用のホースは薄ピンク色、プロパンガス用のホースはオレンジ色で識別されています。
- ガス栓の形状:都市ガスとプロパンガスでは、ガス栓の形状が異なる場合があります。
これらの方法で、現在使用しているガスコンロがどのガス種に対応しているかを確認できます。
3-3.ガスコンロのサイズと口数
ガスコンロのサイズと口数は、キッチンのスペースや調理スタイルに合わせて選ぶことが重要です。
サイズ
- テーブルコンロ:一般的に、幅56cmと59cmの2種類があります。設置スペースに合わせて選びましょう。
- ビルトインコンロ:幅60cmと75cmのタイプが主流です。75cm幅の方がバーナー間の距離が広く、大きな鍋を同時に使用する際に便利です。
口数
- 1口コンロ
- スペースが限られた単身用のキッチンや、普段料理をすることが少ない場合に適しています。
- 2口コンロ
- 一般的な家庭で多く使用されており、同時に複数の調理が可能です。2口コンロを選ぶ際のメリットは、その省スペース性にあります。小さなキッチンでも設置が可能で、基本的な料理をする場合には十分な機能性を備えており、簡単な操作性とメンテナンスのしやすさも魅力の一つです。
- 3口コンロ
- 家族がいて料理をする頻度が高い家庭であれば、3口コンロがおすすめです。同時に複数の料理を進行させることができるため、料理の効率が向上します。また、追加のバーナーは、強火や煮込み用として特化した機能を持つコンロもあり、より本格的な料理にもチャレンジすることができます。
また、強火力バーナーの位置も重要です。コンロの左右どちらに強火力バーナーがあるかは、製品の型番で確認できます。型番の末尾が「R」の場合は右側、「L」の場合は左側が強火力バーナーとなります。
ガスコンロを選ぶ際は、これらのポイントを考慮し、ご家庭の環境や調理スタイルに最適な製品を選択しましょう。
4.ガスコンロ交換時の注意点
4-1.安全性の確保
ガスコンロを交換する際には、何よりも安全性を最優先しましょう。ガス漏れや火災といった重大な事故を避けるため、正確に取り付けなければなりません。特に、ガスの接続部分の取り扱いには細心の注意が必要となります。
また、古いコンロを新しいモデルに交換する際は、新旧のモデル間での適合性を確認する必要があります。適切なガスコンロを選び正しい取り付けを行なうことで、ガスコンロを安全かつ効率的に使用することができるでしょう。
4-2.専門業者による交換の重要性
ガスコンロの交換は、専門的な知識と技術が必要な作業です。そのため、専門業者による交換をおすすめしています。実績のある専門業者であれば、ガスに関する知識や正しい取り扱い方法を熟知しているため、安全にガスコンロを交換することができるでしょう。
また、万が一の事故が発生した場合にも、迅速かつ適切な対応が期待できます。
5.IHコンロも選択肢のひとつ!メリット・デメリットは?
ガスコンロを検討中の方の中には、「IHコンロはどうなんだろう?」と気になっている方もいるかもしれませんね。ここでは、IHコンロ(IHクッキングヒーター)の特徴や、ガスコンロとの違いについて、わかりやすく解説します。
電気の力で鍋底を発熱させて加熱料理をするIHコンロは、ガスコンロとは特性が異なります。ガスコンロと比べて見た目がスタイリッシュであり、特にお手入れも簡単で掃除しやすいことが魅力的ですよね。ですが、IH専用の調理器具が必要だったり、電気容量の確認や工事が必要になる場合があるため、購入前に必ずチェックしておきましょう。
ガスコンロとの比較
- 火力:ガスコンロは直火の強い火力で鍋を振る調理や炙り調理が得意。一方でIHコンロは火を使わず安全で、じっくり調理に向いています。
- 光熱費:都市ガスの場合、ガスコンロの方がランニングコストが安いことが多いですが、太陽光発電などを導入している家庭では電気を使用するIHコンロの方が安く抑えられることが多いです。
- 掃除のしやすさ:ガスコンロは五徳の掃除が手間ですが、IHコンロはサッと拭くだけで簡単にキレイになります。
IHコンロのメリット
- 安全性が高い
- IHコンロは火を使わないので、火傷や火事のリスクがぐっと下がります。調理器具を外すと自動で加熱が止まる機能もあり、消し忘れの心配も少なく安心です。
- 掃除がラク
- 天板がフラットな構造なので、汚れても布巾でサッと拭くだけでピカピカになります。ガスコンロのように五徳を外して洗う手間がないのが嬉しいですね。
- キッチンが快適
- 燃焼ガスが出ないので、調理中も空気がキレイで、部屋が暑くなりにくいのが魅力です。特に夏場の調理が快適になります。
- 機能が充実
- 温度調整やタイマー機能、吹きこぼれ防止機能などが搭載されていて、料理の幅が広がります。「時短したい」「もっと効率よく調理したい」という方にはピッタリです。
IHコンロのデメリット
- 専用の調理器具が必要
- IH対応の鍋やフライパンを使う必要があります。アルミや銅の鍋が使えない場合があるので、手持ちの調理器具が対応しているか確認が必要です。
- 火力調整が難しいと感じる場合も
- 炎が見えないので、ガスコンロのような直感的な火力調整が難しいと感じることがあります。また、鍋底だけを加熱する仕組みのため、焦げ付きやすい料理もあります。
- 停電時には使えない
- 電気を使うため、停電時には調理ができません。非常時のことを考えると、少し不安を感じるかもしれませんね。
- 導入コストが高い場合も
- IHコンロ本体の価格がガスコンロより高い場合があります。また、IH対応の調理器具を揃える費用も考慮する必要があります。
6.【Q&A】ガスコンロの都市ガスとプロパンガスのよくある質問
ガスコンロの都市ガスとプロパンガスに関するよくある質問とその回答を以下にまとめました。
Q1.都市ガスのガスコンロをプロパンガスで使用できますか?
A.いいえ、使用できません。都市ガス用のガスコンロをプロパンガスで使用することは非常に危険です。ガスの種類によって供給圧力や熱量が異なるため、誤った組み合わせで使用すると不完全燃焼や火災の原因となります。必ず使用するガスの種類に適合したガスコンロを使用してください。
Q2.ガスコンロが都市ガスかプロパンか見分ける方法は?
A.ガスコンロの対応ガス種は、以下の方法で確認できます。
- 製品ラベルの確認:ガスコンロ本体に貼付されているラベルに、「都市ガス用」や「プロパンガス用(LPG)」などの表示があります。
- ガスホースの色:一般的に、都市ガス用のホースは白色、プロパンガス用のホースはオレンジ色で識別されています。
- ガス機器のシール:ガスコンロやガス給湯器には、ガス機器の情報が記載されたシールが貼られており、「12A」「13A」などの表記があれば都市ガス用、「LPG」「プロパンガス用」と記載されていればプロパンガス用です。
Q3.都市ガスとプロパンガスは両方使えますか?
A.一部のガスコンロは、部品交換などの改造を行うことで都市ガスとプロパンガスの両方に対応可能ですが、一般的にはそれぞれ専用の機器を使用する必要があります。ガスの種類に適合しない機器を使用すると、重大な事故につながる可能性があるため、必ず適切なガス種に対応した機器を使用してください。
Q4.プロパンガスと都市ガスのどちらがお得ですか?
A.一般的に、都市ガスの方がプロパンガスよりも料金が安いとされています。これは、都市ガスが公共料金として価格が設定されているのに対し、プロパンガスは自由料金であり、供給業者や地域によって価格が異なるためです。ただし、初期導入費用や供給エリア、災害時の復旧速度など、料金以外の要素も考慮して選ぶことが重要です。
7.まとめ
いかがでしたか?
この記事では、都市ガスとプロパンガスの違い、それぞれのガスコンロの特徴や見分け方、さらにはガスコンロの種類とガス種が異なる場合の対処法についても詳しく解説しました。
ガスコンロを交換する際には、何よりも安全性を最優先するべきです。部品を交換する必要がある場合には、危険性をしっかりと理解した上で、専門業者に依頼することがおすすめです。
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