一般的な住宅に多く使用されるフローリングとクッションフロア。
本記事では、フローリングとクッションフロアの違いについて詳しく解説していきます。それぞれの特徴の違いやメリット・デメリット、リフォーム費用の相場、どんな場面での利用におすすめかなど、あらゆる観点で比較。
「自宅の床のリフォームを考えているけど、どの床材にしたらいいか悩んでいる」
「フローリングとクッションフロアの特徴の違いを知って、適切な床材を選びたい!」
という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.代表的な床材の種類
床材は、リフォームや新築の際に重要な要素です。床材にはフローリングやクッションフロア、フロアタイル、畳、カーペットなどが挙げられます。ここでは、代表的な床材であるフローリング・クッションフロア・フロアタイルに絞って、それぞれの特徴について解説していきます。それぞれの床材には特徴があり、異なる用途やニーズに適したものがありますので、ご自宅の床をリフォームしたいとお考えの方はぜひ参考にしてみてくださいね。
1-1.フローリング
フローリングは、主に木材ベースの床材を指します。住宅に使用される床材はひとくくりに「フローリング」と呼ばれることも多いですが、広葉樹や天然木などの木質系材料を使用した床が一般的なフローリングとして利用されています。フローリングは、一枚ずつのピース状の木材を並べて貼り付けて床を作り上げます。
フローリングには、大きく分けて「単層フローリング」と「複層フローリング」の2種類があります。
単層フローリング(無垢フローリング)
単層フローリングは、天然木(サクラやヒノキなど)を加工して作られた床材です。一般的に、フローリングと言われると、単層フローリングのことを指すことが多く、別名で「無垢フローリング」とも呼ばれます。
自然素材ならではの質感や表情の違いが楽しめることや、使い込むほどに風合いが豊かになることから、人気が高いです。また、無垢材本来の調湿作用があることも特徴として挙げられます。後に解説する複合フローリングよりも、より自然な反射で温かみのある雰囲気に仕上がります。
一方、単層フローリングは天然木を使用しているために、反りや割れ、収縮が発生しやすいものも。また、表面の柔らかい材種の場合、傷がつきやすく、お手入れに手間がかかることもあるため、注意が必要です。
複合フローリング
複合フローリングは、複数の合板を貼り合わせ、その表面に天然木を貼って作られた床材です。合板が何枚も重なっているため、「複合フローリング」と呼ばれています。
複合フローリングは、単層フローリングと比べると、より均一な品質を持ち、耐傷性や断熱性、そしてメンテナンス性にも優れています。また、一般的には比較的安価でリーズナブルな点も嬉しいポイント。さらに、一部の複合フローリングは、遮音材を使用した防音性の高いものがあったり、表面加工を施して耐衝撃性や防水性を高めているものもあったりと、機能性に長けた製品もあります。
しかし、複合フローリングは、単層フローリングに比べて個性や独特の温かみが感じにくいことや、一部の製品にはホルムアルデヒドを含む接着剤が使用されている可能性があることに注意が必要です。
1-2.クッションフロア
クッションフロアは、柔らかいビニール製のシート状の床材で、機能性が高く、豊富なカラーや柄が特徴です。一般的な住宅用は1.8mm、店舗などでは土足にも対応するために2.3~2.5mmの厚さがあり、主にキッチンや浴室などの水回りに用いられます。
デザイン性が高く、木目やタイルなどの凹凸がリアルに再現されていたりと、天然木のフローリングに似た見た目のものもあります。また、フローリングに比べて価格が手ごろで、防音性や消臭機能を備えたものもあります。さらに、クッションフロアは施工が容易なため、DIYにも適しています。
1-3.フロアタイル
フロアタイルは、塩化ビニールで作られたピース状の床材で、クッションフロアと異なり、硬い表面が特徴です。この硬さが耐擦傷性や耐久性をもたらし、重い家具を置いても凹まない頑丈さを持ちます。しかし、遮音性やクッション性はないため、マンションの遮音床材指定には対応しないことがあります。
また、フロアタイルは主にポリ塩化ビニル製で、DIYでも人気の高い床材です。木目調や大理石調など様々なテクスチャーやカラーがあり、低価格かつ手入れが簡単なのが魅力です。施工が簡単なため、空間の模様替えにも最適です。フロアタイルは、耐傷性やメンテナンス性に優れ、軽くて薄いため、オフィスや店舗などでも多く採用されます。
一方で、フローリングに比べると質感や雰囲気が劣ること、温度変化による伸縮や長時間の居住には向かないという一面もあります。
2.フローリングとクッションフロアのメリット・デメリット
フローリングとクッションフロアには、それぞれに独自のメリットとデメリットがあります。この章では、それぞれの違いについて詳しく解説していきますので、ぜひご自宅の環境やニーズにぴったり合う床材を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
2-1.フローリングのメリット・デメリット
フローリングはメンテナンスが容易なため、清潔さを保ちやすい床材です。こぼした飲み物や食べこぼしも簡単に拭き取れるので、掃除に手間がかからず、とっても便利。さらに、カーペットと比べてダニが発生しにくく、常に衛生的な状態を維持することが可能です。
このように、ほとんどのフローリングにはメンテナンスがほとんど必要ないのが魅力的。一部の単層フローリングはワックスの定期的な塗布が必要ですが、手間のかかる表裏返しや表替えの手入れは不要です。その分、単層フローリングは、天然木特有の「調湿機能」が備わっており、室内の適切な湿度を維持してくれます。複合フローリングは耐久性が高く、摩擦にも強いため、長期間美しい状態を保ちます。
一方、デメリットとして挙げられるのが、足の冷えや疲れやすさ。使用される木材の硬さによって異なりますが、硬いフローリングは足に負担をかけます。とくに、犬や猫にとってフローリングは非常に滑りやすいため、人間だけではなく、一緒に暮らしているペットにも負担がかかってしまうことも。足腰の弱いペットを飼育しているご家庭では注意が必要です。
また、水に弱い性質もあります。水を含むと膨張や変色の恐れがあるため、水のこぼれやすい場所では注意が必要です。
2-2.クッションフロアのメリット・デメリット
クッションフロアは、フローリングと同様、掃除が容易なことがメリットとして挙げられます。
表面が滑らかで平坦なため、ほこりや汚れがつきにくく、掃除機やほうきで手軽に清掃できます。フローリングと比べて耐水性があり、水や液体のこぼれに強く、水拭きも簡単に行えます。そのため、キッチンやバスルームなど水まわりでの利用に適しています。また、撥水性にも優れており、長期間美しい状態を維持できます。
さらに防音性が高く、歩行時の振動や足音を吸収する性質があり、騒音を軽減します。そのため、とくに集合住宅や子供が多い家庭などで重宝されます。
豊富なデザイン展開も魅力で、木目調やタイル風の柄、様々なカラーバリエーションがあり、インテリアに合わせて選択可能です。
いいこと尽くしのように思えるクッションフロアですが、しかしながら、クッションフロアにもデメリットがあります。
フローリングに比べると、クッション性のある柔らかい素材のため、傷つきやすいことが挙げられます。そのため、重い物や家具を長期間にわたって置いておくとへこみや傷ができやすいです。
また、防水性は高いものの、通気性が高いために湿気の影響を受けやすく、高湿度や水のかかる場所では膨張や変形のリスクがあります。長時間の直射日光にさらされると色あせや変色することもあるため、防カビ加工が施されたものを選ぶなどの適切な予防策が必要です。
<フローリングとクッションフロアの比較表>
フローリング | クッションフロア | |
---|---|---|
耐水性 | 水に濡れると偏食や膨張の恐れあり | 撥水性に優れているものが多い |
耐久性 | 表面の柔らかい材種の場合、傷がつきやすい 単層フローリングは耐久性高め | 柔らかい素材のため、傷や凹みができやすい 湿度にも弱い |
デザイン性 | 木材系の材料を使用しているため、 デザインの幅は小さい | デザインやカラー展開が豊富 |
防音性 | 基本的に防音性は低い 遮音性が高められた製品も一部ある | フローリングよりも防音性は高い 遮音加工が施された製品もある |
クッション性 | クッション性は低く、 足腰に負担がかかりやすい | クッション性は高く、 足腰が疲れにくい |
3.フローリングとクッションフロアのおすすめの利用シーン
これまで解説してきたように、フローリングとクッションフロアは特徴が異なっています。そのため、それぞれに適した利用シーンや、どんなニーズを持つ人におすすめかも様々です。
この章では、フローリングとクッションフロアの特性を踏まえた上で、どのような利用シーンにおすすめできるかを紹介します。
3-1.フローリングにおすすめの利用シーン
在来工法の浴室では機密性が低いため、とくに冬場などは気温の変化による「ヒートショック」のリスクがありました。その点、システムバスは断熱性が高く、床材もヒヤリとしない素材のものを使うことができるため、ヒートショックのリスクが低減できます。これは、ヒートショックが起こりやすいと言われるお年寄りや特定疾患のある方にとっても、大きなメリットとなります。
クッションフロアに比べると、やや遮音性に劣るフローリング。そのため、遮音性が求められるマンションよりも、戸建ての部屋にはフローリングがおすすめです。戸建てなら床材の選択に自由度があります。
戸建ての場合
クッションフロアに比べると、やや遮音性に劣るフローリング。
そのため、遮音性が求められるマンションよりも、戸建ての部屋にはフローリングがおすすめです。戸建てなら床材の選択に自由度があります。
重い家具を置く場合
家具を多く置く部屋では、クッションフロアよりもフローリングが適しています。重い家具を置いても凹みができにくく耐久性が高いため、床の保護に役立ちます。
ナチュラルな雰囲気を取り入れたい方
フローリングは、天然木の木目や質感をそのまま表現しており、自然な雰囲気を醸し出します。天然木のフローリングは、そのナチュラルな風合いで空間を魅力的に演出します。部屋に温かみを与えたい方や、自然と調和させたインテリアにしたい方に最適です。
木の質感を楽しみたい方
複合フローリングや無垢フローリングは、カラーバリエーションや質感の違いが豊富で、部屋のテイストに合わせた床材を選ぶことができます。とくに無垢フローリングは木の艶や表情を楽しめる質感があります。
お手入れする時間が取りづらい方
一人暮らしや共働きなどで忙しい方には、複合フローリングがおすすめです。ロボット掃除機の使用や、さっと拭き取るだけで手軽に清潔を保つことができるため、お手入れの手間を省くことができます。
3-2.クッションフロアにおすすめの利用シーン
クッションフロアはメンテナンスが容易であり、クッション性に優れているため、さまざまな部屋や特定のライフスタイルに適しています。
水回りの部屋(キッチンや浴室)
クッションフロアは耐水性が高く、柔らかいビニール製のため、水回りの部屋に最適です。キッチンや浴室など、水がかかる場所でも安心して使用できます。湿気対策として、防カビ加工が施されたものを選ぶと良いでしょう。
ペットを飼育している場合
クッションフロアはペットが走り回る際の安全性に優れています。また、ペットの爪による傷がつきにくいメリットも。掃除も簡単に行えて、臭いも吸収しにくいため、ペットを飼っている方に最適です。
小さな子どもや高齢者がいる場合
クッションフロアはその名の通り柔らかでクッション性に優れているため、幼い子どもや高齢者の方の足腰に負担をかけず、快適に安全に過ごすことができます。また、遮音性が高いため、子供が活発に動いても下の階に響く音を軽減してくれます。
予算を抑えたい方
他の床材に比べて比較的低価格で入手できるため、予算を抑えたい方にも最適です。予算重視という方にはクッションフロアがおすすめです。
デザイン性を重視する方
クッションフロアは多様なデザインや模様、質感の製品が用意されており、インテリアにアクセントを加えることができます。シンプルでモダンなデザインからカラフルな模様まで、さまざまなインテリアに対応してくれますよ。
床暖房を使用する場合
クッションフロアは断熱性に優れているため、床暖房の効率を高めます。そのため、床がひんやりと冷たくなりがちな冬の朝でも、効率良く暖かくなりやすく、快適な環境を提供します。
4.フローリングとクッションフロアのリフォーム費用相場
床を張り替える際に最も気になるのが、リフォーム代。
この章では、フローリング・クッションフロアそれぞれのリフォーム費用の相場について紹介していきます。
4-1.リフォーム費用に影響する4つのポイント
フローリング・クッションフロアそれぞれの費用相場について紹介する前に、まずは床材のリフォーム費用は、どこで変わるのかを知っておきましょう。床のリフォーム費用には、次の4つのポイントが影響します。
①床材の種類
張り替える床の材質や種類によって費用が異なります。例えば、天然木を使用した単層フローリングは、高品質で自然な風合いを楽しめる反面、その分費用も高額になります。
一方、クッションフロアは比較的リーズナブルで、水回り向けの防水性や防音性を備えています。床材の価格帯は一般的に、クッションフロア < 複合フローリング < 単層フローリングとなります。ただし、複合フローリングでもマンションなどで使われる防音フローリングは、材料費が単層フローリングを上回る場合もあります。
②工事面積
床のリフォーム費用は、リフォームする面積に比例して変動します。リフォーム対象の床の広さが大きいほど、必要な材料量や工事時間が増え、それに伴って費用も増加します。
③工事の方法
工事方法も費用に影響します。一般的な床リフォームには、既存の床をそのままにして新しい床材を重ねて張る「重ね張り工法」と、既存の床を剥がしてから新しい床材を貼り付ける「張り替え工法」の2つの方法があります。
重ね張り工法は撤去費用がかからないためコストが抑えられますが、現状の床が劣化状態にある場合には不向きとされています。
一方で、張り替え工法は、撤去作業や下地補修に伴う費用がかさみますが、畳からフローリングへのリフォームや、クッションフロアをフローリングに変えたいときなど、床材そのものを変更したいときに適しています。
④既存の床材
床のリフォームにおいて、既存の床材や、床の状態も重要な要素です。床の状態が劣化している場合、下地補修や補強が必要になり、費用が増加します。また、既存の床材に何が使用されているかによっても費用は異なります。例えば畳の場合は、畳を撤去し床下地を整える必要があるため、他の床材と比べて工事費用がかさむ傾向にあります。
4-2.フローリングのリフォーム費用相場
次に、フローリングのリフォーム費用相場についてご紹介します。上記で解説した通り、リフォームにかかる費用は既存の床材に何が使用されているかや、下地の劣化具合によっても異なりますが、以下が基本的な相場とされています。今回は6畳(約10㎡)を張り替える場合を想定して紹介します。
<フローリング→フローリングへ張り替える場合>
床材工法 | 工法 | 費用相場 |
---|---|---|
単層フローリング | 重ね張り | 10〜18万円 |
張り替え | 15〜22万円 | |
複合フローリング | 重ね張り | 8〜14万円 |
張り替え | 12〜16万円 |
<畳→フローリングへ張り替える場合>
床材工法 | 費用相場 |
---|---|
単層フローリング | 16〜24万円 |
複合フローリング | 12〜22万円 |
<クッションフロア→フローリングへ張り替える場合>
床材工法 | 費用相場 |
---|---|
単層フローリング | 12〜19万円 |
複合フローリング | 9〜14万円 |
上記の費用相場はあくまで目安です。使用する床材や、防音の有無、下地の劣化具合による補修費用、専門業者などによっても価格は変動しますので、見積もりの際に必ず詳細を確認するようにしましょう。
4-3.クッションフロアのリフォーム費用相場
クッションフロアの本体価格は1㎡あたり約2,200~4,500円のため、6畳の部屋でリフォームする場合、材料費だけで約2.5~4.5万円がかかります。ただし、専門業者に依頼する場合は施工費や処理費もさらに加算されます。そのため具体的な金額については、重ね張り工法の場合は、3~5.5万円程度が費用相場とされています。
また、フローリングからクッションフロアへ張り替えるなどの、張り替え工法が行われる場合には、撤去や処理費用がさらにかさむため4.5~10万円程度が相場です。畳からクッションフロアに変更する場合には、畳を剥がしたあと下地の張り替えも行わなければならないため、リフォーム費用はさらに高額になります。
これらは一般的な目安であり、具体的な金額は床の状態や業者によって異なる場合があります。リフォームを検討する際は、複数の業者との相談や見積もりを行い、費用の詳細を把握することが重要です。
5.まとめ
いかがでしたか?
本記事では、代表的な床材の種類や、フローリング・クッションフロアの違い、メリットデメリット、相場費用について解説しました。
リフォームの機会がなかなかないからこそ、床材にはどのような種類があって、どの程度の予算を見積もっておけばいいのかわからなかったという方も多いのではないでしょうか。ぜひ、本記事を参考にご家庭のニーズや、予算に合ったリフォームを行なってくださいね。もしわからないことや困ったことなどあれば、いつでも【おうちのアラート】までご相談ください。