トタン屋根とは一体何?その特徴とメンテナンス方法

ひと昔前の住宅によく見られる「トタン屋根」。名前こそ聞いたことがあるものの、厳密にはどのようなものを指すのかいまいちわかりませんよね。

そこで本記事では、トタン屋根の特徴と種類、メリット・デメリットなどをご紹介していきます。お持ちの建物にトタン屋根が使われている方は、ぜひメンテナンス方法なども参考にしてみてくださいね。

1. トタン屋根とは?

トタン屋根とは、ひとことで言えば金属屋根の一種です。

「トタン」とは鉄板の表面に亜鉛メッキを施した板材のことで、この板材に「垂木」と呼ばれる木材などを組み合わせたものが「トタン屋根」です。

日本で長く用いられてきた瓦屋根に比較し、安価で施工が簡単なことや軽量で耐震性に優れていることから、高度経済成長期以降は主流の屋根となりました。

現在はトタン屋根をさらに進化させたガルバリウム鋼板が主流になってきているため、あまり採用されることはありませんが、古い家や倉庫、工場などででトタン屋根を見ることができます。

2. トタン屋根の種類

トタン屋根には大きく分けて3つの種類があります。以下でそれらを詳しく見ていきましょう。

2-1. 波板トタン屋根

“トタン屋根”と聞いてみなさんがイメージするであろう、波うった屋根。この波型に加工された板こそが「波板トタン屋根」です。薄い鉄板の強度を高めるために波型に加工されています。

2-2. 瓦棒葺きトタン屋根

凸型の突起物が等間隔に走っている屋根を「瓦棒葺きトタン屋根」と呼びます。

突起物の中に「芯木(しんぎ)」と呼ばれる木の棒が仕込まれており、そこにトタン板を固定しています。繋ぎ目が少なく雨漏りしにくいため、ならだらかな傾斜でも施工が可能です。

2-3. 折板トタン屋根

トタン板を折り曲げた形に加工して施工した屋根です。波板トタン屋根よりもトタン板を大きく折り曲げています。強度が高く、凹凸によって水捌けも良いため、体育館や工場などの大きな建物に用いられることが多いです。

3. トタン屋根に見られる構造

屋根の張り方には、縦方向に張る「縦葺き」、さらに横方向に張る「横葺き」の二つがあります。縦葺き屋根は雨水が滑りやすい特徴を持っている分、勾配を緩くして張ることができます。

このうちトタン屋根は、縦葺き屋根に分類されます。

4. トタン屋根のメリット

ガリバリウム鋼板が主流となっているいま、屋根材に選ばれることは少ないかもしれませんが、トタン屋根には高度経済成長期以降の日本を支えたそれなりのメリットがあります。以下でそのメリットを見ていきましょう。

4-1. コストパフォーマンスが高い

トタン屋根の最大のメリットは、コストパフォーマンスの高さです。1㎡あたりの価格で見ると、トタン屋根は4,500~7,000円程度と非常にリーズナブルです。

ほかの屋根材と比較しても、ガルバリウム鋼板が5,000~7,500円、瓦が8,000~15,000円となっており、トタンが最も経済的です。

4-2. 軽量のため建物への負担が少ない

トタン屋根は非常に軽量で、建物にかかる負荷が少なくて済みます。これは、屋根の重さが軽くなることで建物の重心が下がり、地震時の揺れを抑える効果もあります。瓦屋根の約10分の1の重さしかないため、耐震性の向上にも寄与します

4-3. 雨漏りしにくい

トタン屋根は大きな板状であるため、継ぎ目が少なく、雨漏りのリスクが低いのが特徴です。新しい状態であれば、この特性がとくに有効ですが、経年劣化による錆や穴が発生すると、雨漏りのリスクがかえって高まるので注意が必要です。

4-4. 簡単な施工と短い工期

トタン屋根は施工が比較的簡単で、工期も短く済みます。瓦屋根などに比べると、施工の手間が少ないため、生活への影響も最小限に抑えられます。

5. トタン屋根のデメリット

続いてはトタン屋根のデメリットとして代表的な4つのポイントをご紹介します。トタン屋根をお使いの方にとっても、メンテナンスの必要があるために、以下を念頭においておくといいでしょう。

5-1. 錆びやすい

トタン屋根の大きなデメリットは、錆びやすいことです。錆びが進行すると、穴が開いたりして耐久性が低下します。定期的なメンテナンスが必要です。

5-2. 熱を通しやすい

金属製のため熱を通しやすく、夏場は室温が上がりやすくなります。冷房費用が増加する可能性があるため、断熱材の併用が推奨されます。

5-3. 遮音性が低い

トタン屋根は遮音性が低く、雨音が室内に響きやすいです。この点は個人の感じ方に依存しますが、音が気になる方には不向きかもしれません。

5-4. メンテナンス頻度が高い

錆びやすいため、他の屋根材と比較してメンテナンス頻度が高いです。ガルバリウム鋼板が10~15年に1度、瓦が20~30年に1度のメンテナンスで済むのに対し、トタン屋根は5~10年に1度のメンテナンスが必要です。再塗装や補修が頻繁に必要になるため、長期的な維持費用も考慮する必要があります。

6. トタン屋根の劣化サイン

トタン屋根は、近年主流となっているスレートなどの屋根材に比べて、劣化しやすいという特徴があります。以下に、トタン屋根の代表的な劣化症状を詳しく説明していきましょう。

6-1. 色あせ

トタン屋根が施工直後に比べて、ツヤがなくなり、色が変わってしまう現象を「色あせ」と言います。トタン屋根は塗装によって保護されていますが、紫外線や風雨などの外部要因によって塗膜が劣化すると、この色あせが発生しやすくなります。

6-2. サビ

トタン屋根の最も一般的な劣化症状は「サビ」です。トタン屋根の表面のメッキが剥がれ、そこからサビが進行すると、屋根全体に広がっていくことがあります。小さなサビでも放置すると急速に広がるため、早期の対策が必要です。

6-3. 穴あき

サビを放置すると、トタン屋根に穴が開いたり、脆くなって崩れたりすることがあります。これにより雨漏りなどの二次被害が発生する恐れがあります。穴が開くと屋根材としての機能が失われるため、早急な修理や交換が必要です。

6-4. チョーキング

トタン屋根に手を触れると白い粉が付く現象を「チョーキング」と言います。これは塗膜の劣化によって起こるもので、とくに金属屋根材ではこの症状が現れやすいです。

6-5. コケやカビの発生

トタン屋根は金属製であるため、通常はコケやカビが発生しにくい素材です。しかし、トタン屋根にたまった砂やホコリが湿気を含むことで、コケやカビが発生することがあります。

7. トタン屋根に必要なメンテナンス

前章でトタン屋根の劣化サインを見てきました。本章では、それに対応するメンテナンスをご紹介します。程度や劣化サインごとに対策が異なるため、注意して確認してくださいね。

7-1. 色褪せやチョーキング、軽度の錆には「屋根塗装」

トタン屋根の塗装は、表面を新たに塗り直して美観や耐久性を取り戻すためのメンテナンスです。トタン屋根が比較的健全な状態で、サビも軽度な場合に適しています。もしサビが原因で穴が開いていたり、部分的に崩れていたりする場合は、塗装では対応できません。塗装の目的は素材と見た目を保護することであり、既に穴が開いたり腐食している部分を修復するものではないからです。

一般的な30坪の住宅に塗装を施す場合、費用はおおよそ40~48万円程度とされています。

7-2. 穴あきや重度の錆には「屋根カバー工法」

塗装をした直後に穴が広がったり、他の部分に新たな錆穴ができてしまう場合は、屋根カバー工法や屋根の葺き替えが必要です。サビが深刻な場合には、塗装ではなく、これらの工法を選ぶことをおすすめします。

7-3. 強度が落ちるほどの錆には「屋根葺き替え」

トタン屋根に穴が開いていたり、サビが進行して脆くなっている場合は、屋根の葺き替えが必要です。葺き替えとは、既存のトタン屋根と下地をすべて撤去し、新しい屋根を取り付ける工法のこと

30坪の住宅で屋根の葺き替えを行なう場合、費用は一般的に100~140万円ほどかかります。この方法はコストがかかりますが、屋根を甦らせ、問題を根本から解決する効果があります。

7-4. メンテナンスのポイント

トタン屋根を長持ちさせるコツは、サビが発生する前に塗り替えを行なうこと。サビが出ていなくても、下塗りに錆止め塗料を使用し、予防策を取りましょう。

8. まとめ

本記事ではトタン屋根の特徴やメリット・デメリット、メンテナンス方法についてご紹介しました。これから屋根リフォームを行なう方がトタン屋根を選ぶことは少ないかもしれませんが、知識として頭に入れておけば、新しい屋根材をするときの比較材料にもなります。また、トタン屋根の建物をお持ちの方にとっては、メンテナンス方法など参考にしていただければ幸いです。

もしエクステリアリフォームでお困りの際には、ぜひ一度【おうちのアラート】までご相談くださいね。

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