内装やインテリアについて知識がある人の中には、知っている人もいるであろう「縁甲板」(えんこういた)。縁甲板とは“えんこいた”とも呼ばれる日本の伝統的な床材のことで、インテリアに美しいアクセントをもたらします。
本記事では、そんな縁甲板の種類やフローリングとの違い、主な使用例についてご紹介します。住宅のリフォームを検討している方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
1. 「縁甲板」(えんこういた)とは何か
縁甲板は、日本の伝統的な床材で、主に和室や和風の空間に用いられます。畳と同じ敷居高さで、隣り合う縁甲板と組み合わさるように、凸凹の縁(ふち)を設けた本実加工(ほんざねかこう)と呼ばれる構造が特徴です。大きさは、幅9cm ~ 30cm・厚さ1.5cm ~ 3cm・長さ1.8mほどです。
2. 縁甲板の種類は?
縁甲板の木材として代表的なものに、杉、檜、桧(ひのき)、榧(かや)、クリなどが挙げられます。それぞれの木材には特有の風合いや香りがあり、好みや用途に合わせて選ぶことができます。
また、縁甲板には複層縁甲板と無垢材縁甲板の2種類があります。
複層縁甲板は、複数の木材層が積層された構造を持っています。表面には高品質な木材が使用され、裏側には他の木材や合板が使われることが一般的です。積層構造により、温度や湿度の変化に強く、反りや歪みが少ないのが特徴です。このため、床の安定性が高く、長期間にわたって美しい状態を維持しやすいのも嬉しいポイントです。さらには、無垢材に比べて軽量で、施工が比較的簡単というメリットも。床暖房との相性も良いため、寒い地方などにはうってつけです。
もう一方の無垢材縁甲板は、一本の木材から削り出されたもので、表面から裏まで同じ材質で作られています。 無垢材ならではの自然な風合いや木目があり、独特の温かみが感じられることが特徴です。また、時間が経つにつれてその魅力も変化し、使い込むほどに味わい深くなります。無垢材は表面に傷がつくことがあるため、研磨や再仕上げなど定期的なメンテナンスが必要です。
さらに、自然の風合いがそのまま生かされているだけに、表面に節や入り皮が入ることも。乾燥収縮により、反りやむくりなどが多く、各部材間や巾木などの取り合い部ですき間が生じることがあります。
3. 縁甲板とフローリングの違いは?
ここまで読み進めて、フローリングとの違いはなんだろう?と疑問に思われた方もいるかもしれません。縁甲板とフローリングの大きな違いは長さにあります。建築業界では1.8m以上の木板を縁甲板と呼び、1.8m以下の木板をフローリングと呼びます。
また、和風と洋風の趣向の違いも大きな特徴です。縁甲板に使用される木材は、主に日本の伝統や和風の空間に合わせて選ばれます。代表的な木材としては、前述の通り、杉、檜、桧(ひのき)、榧(かや)、クリなど。これらの木材は、日本伝統の風合いや香りを持ち、和風の趣を引き立てる役割を果たします。また、表面の仕上げには、オイル仕上げやウレタン仕上げが施され、耐久性やメンテナンスのしやすさも考慮されています。
一方、フローリングにも様々な木材が使用されます。使用される木材は、オーク、メープル、チェリー、ウォルナットなど。これらは主に洋風のインテリアに調和します。
ここで「羽目板」(はめいた)との違いも説明しておきましょう。羽目板は縁甲板と同じ縦長の木材を指していますが、天井に使われる場合には「羽目板」、床に使われる場合は「縁甲板」と使い分けられることが多いようです。さらには、使用される場所が天井なだけに、厚みが5〜9mmと縁甲板に比べてやや薄めの特徴を持っています。
4. 縁甲板の主な使用例
縁甲板は、和室の床材を一新したり、畳を敷いて余ったスペースを埋めたりする際に利用されます。畳部分を縁甲板に変えることで、和風の雰囲気を保ちながら、すっきりとモダンな雰囲気に見せることができます。また、畳敷で余白ができてしまったスペースに縁甲板をはめ込むことで、インテリアに有機的な印象を加えることも可能です。
さらに、インテリアデザイン次第では、和風テイストの洋室やリビングでも採用できる幅広い魅力があります。
5. 縁甲板の費用相場
縁甲板の相場は、品質や木材の種類、仕上げの方法によって異なりますが、1平米あたり10,000円から30,000円程度が一般的な価格帯です。ただし、リフォームや施工業者によっても変動するため、具体的な見積もりを取ることが重要です。
6. 縁甲板の代表的メーカー
縁甲板を購入する場合の人気メーカーのひとつは「大建工業」です。「WPCえんこう」と呼ばれる縁甲板シリーズは、凹み傷や引っかき傷が付きにくい和風床材となっており、松柄・檜柄・欅(けやき)柄など、異なる風合いからお好みのものを選べるのが特徴です。1平米あたり約20,000円程度から販売されています。
ふたつめのメーカーは「ウッドワン」です。日本に馴染み深い銘木を集めたという「フロング」シリーズには、松や桧(ひのき)のほか、古民家の建材をイメージしたという縁甲板も。一般の縁甲板より表面硬度が高く、表面割れが生じにくいWHF加工や、一般の縁甲板よりも幅広なサイズ展開が特徴です。1平米あたり約13,000円程度から販売されています。
7. 縁甲板のDIY手順
DIYで縁甲板のリフォームを行なうことは不可能ではありません。仕上がりにこだわる方や安全面で自信がない方は極力プロにお任せするのがおすすめですが、DIYにどうしても挑戦してみたい方は、以下の手順にならってトライしてみてくださいね。
【用意するもの】
- 縁甲板
- ゴム製ハンマー
- 木工用接着剤
【作業工程】
1. 既存の床材を撤去する
2. 床の掃除を行う
3. 床に凹凸がないかを確認し、ある場合には平らに補修する
4. 縁甲板を貼る箇所を確認する
5. 縁甲板を貼る箇所に木工用接着剤をつける
6.縁甲板のメスさね(凹みがある方)を壁に向け、床に貼る
7. 6の縁甲板のオスさね(凸がある方)に、2枚目の縁甲板のメスさねをはめ込む
8. ゴム製ハンマーで浮いている部分をしっかり叩き込む
9. スペースが埋まるまで繰り返す
8. まとめ
本記事では、「縁甲板」とはなんぞや?から始まり、その種類、フローリングとの違い、費用相場やDIYについてまでご紹介してきました。日本の伝統と木の温もりが息づく美しい床材・縁甲板は、家を受け継ぐ次世代に対しての贈り物としても最適です。ぜひ、和風の趣と有機的な雰囲気がこめられた縁甲板を、選択肢のひとつとして加えてみてくださいね。
もしわからない点やお悩みのことなどあれば、ぜひ一度【おうちのアラート】までお問い合わせください。
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