家庭用蓄電池の基礎知識|種類やメリット・費用を解説

家庭用蓄電池は、停電時の電源確保や電気料金の節約に役立つ便利なアイテムです。有事の際に備えて購入を考えたことがある方も多いかもしれません。

しかし、種類や価格、容量、寿命など、選ぶ際には多くの考慮すべきポイントがあって判断に迷ってしまう場合もありますよね。

そこで本記事では、家庭用蓄電池の基本的な情報をわかりやすく解説し、最適な蓄電池選びをお手伝いします。ぜひ参考にしてみてくださいね。

1. 蓄電池とは

まず蓄電池とはいったいなんでしょうか?

蓄電池とは、その名の通り、電気エネルギーを貯めて必要な時に使えるようにする装置です。

停電時のバックアップ電源として利用されるほか、電気料金の安い夜間に電力を蓄え、昼間に使用することで節約もできます。とくに、家庭用蓄電池は太陽光発電と組み合わせることで、さらに効果を発揮します。

2. 蓄電池の種類

家庭用蓄電池にはいくつかの種類があります。主なものとしては、リチウムイオン電池鉛蓄電池、そして新しく注目されている全固体電池など。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解して、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

2-1. リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は、軽量で長寿命、高容量の特性を持つため、現在最も一般的に使用されています。初期費用は高めですが、長期的には経済的と言えます。

リチウムイオン電池の特徴として、エネルギー密度が高いため、小型でありながら大量の電力を蓄えることができます。したがって家庭内の設置スペースを節約することができ、都市部の住宅でも導入しやすい点が魅力です。

さらに、リチウムイオン電池はサイクル寿命が長く、充放電を繰り返しても性能の低下が少ない点もポイント。一般的に、リチウムイオン電池は3000サイクル以上の使用が可能で、適切にメンテナンスを行なえば10年以上の寿命を持つとされています。これは、頻繁に交換が必要な他のタイプの蓄電池に比べても、手間やコストの削減に繋がるため、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

2-2. 鉛蓄電池

鉛蓄電池の主な特徴として挙げられるのはまず、高い信頼性。鉛蓄電池は約150年以上の使用実績があり、その信頼性が確立されています。また、高い耐久性と安定性を持ち、過酷な環境下でも比較的安定して動作するため、非常用電源としての利用や産業用の大規模なシステムでも広く採用されています。

しかし一方で、鉛蓄電池はリチウムイオン電池に比べて重量があり、大型化しやすいという欠点も。とくに家庭に大容量のシステムを導入する場合には、スペースの問題が発生する可能性があります。

寿命については、鉛蓄電池は一般的に3~5年程度とされており、リチウムイオン電池に比べて短めです。充放電の回数が増えると劣化が早まり、定期的な交換が必要となるため、長期的なメンテナンスコストがかかることがあります。

2-3. 全固体電池

全固体電池は、まだ開発段階にある新しい技術ですが、高い安全性と長寿命が期待されている、いわば電池版の“若手のホープ”です。その理由をご紹介していきましょう。

まず注目したいのが、高い安全性です。従来のリチウムイオン電池や鉛蓄電池が液体電解質を使用するのに対し、全固体電池は固体電解質を使用しており、液漏れや発火のリスクが低いとされています。また、固体電解質は化学的に安定しており、劣化が少ないため、長寿命も期待できます。

さらに、高いエネルギー密度を持つため、小型で効率的な蓄電も可能。

現在は製造コストが高く、大量生産が難しい課題がありますが、技術の進展に伴い、将来的にはリチウムイオン電池に代わる可能性があります。家庭用蓄電池の選択肢として考慮する価値が十分にあるでしょう。

3. 蓄電池のメリット

家庭用蓄電池のメリットは以下の通りです。

①停電時のバックアップ電源

自然災害や予期せぬ停電時に電力を供給します。

例えば、台風や地震などの災害時に数日間の停電が発生した場合でも、冷蔵庫や照明、携帯電話の充電など、基本的な生活機能を維持できます。普段利用している電化製品をそのまま使い続けられるという意味では、大きな安心材料となるはずです。

②電気料金の節約

夜間の安い電力を蓄え、昼間に使用することで電気料金を抑えられます

例えば、電力使用量が多い家庭では、夜間に蓄電池を充電し、昼間にエアコンや電化製品を使うことで、電気料金のピークカットができるようになります。これにより、年間の電気代を大幅に削減することができます。

③環境への貢献

太陽光発電と組み合わせることで、再生可能エネルギーの利用を促進します。

例えば、日中に太陽光発電で発電した電力を蓄電池に蓄え、夜間にその電力を使用することで、自家消費率を高めることができます。結果として電力会社からの電力購入量を減らし、二酸化炭素排出量の削減に貢献することにも繋がります。

4. 蓄電池のデメリット

もちろん、蓄電池にもデメリットがあります。先に紹介したメリットと比較しながら、蓄電池の特徴について押さえていきましょう。

①初期費用が高い

設置費用や機器自体の価格が高めです。例えば、一般的な家庭用蓄電池の初期費用は数十万円から百万円を超えることもあります。これは多くの家庭にとって大きな投資となるため、導入をためらう要因となることがあります。

②寿命の限界

蓄電池には寿命があり、定期的な交換が必要です。

例えば、リチウムイオン電池の寿命は約10年程度とされていますが、使用頻度や環境条件によってはそれより短くなることもあります。寿命が尽きると、新しい蓄電池を購入する必要があり、追加の費用が発生します。

③スペースの必要性

設置場所が必要となります。とくに大容量のものはスペースを取ります。

例えば、都市部の狭い住宅では、蓄電池の設置場所を確保するのが難しい場合があるでしょう。また、屋外に設置する場合は、天候の影響を受けないように防水対策を施すなどの手間もかかります。

5. 蓄電池の導入費用

蓄電池の導入費用はさまざまです。

一般的には、リチウムイオン電池の価格は1kWhあたり約15万円から30万円程度です。補助金制度を利用することで、初期費用を抑えることができる場合もあるため、導入を考えている方は自治体に問い合わせてみると良いでしょう。

6. 蓄電池の選び方

以上まで蓄電池についての特徴やメリット・デメリットなどをご紹介してきましたが、蓄電池を選ぶ際のポイントをまとめると、大きく分けて以下の6つです。ぜひ参考にしてみてくださいね。

①容量

家庭の消費電力に応じた適切な容量を選びましょう。

例えば、家族4人が暮らす家庭では、冷蔵庫やエアコン、照明などの基本的な電力をカバーするために10kWhの容量が適しています。停電時でも日常生活をカバーできるほどの容量があると、安心して過ごすことができます。

②価格

初期費用だけでなく、長期的なコストパフォーマンスも考慮しましょう。いくら初期費用が安くても寿命が短く、頻繁に交換が必要な蓄電池は、結果的に高コストになることがあるので注意。

逆に、初期費用が高くても寿命が長い蓄電池は、長期的に見て経済的です。家庭の予算に応じて、トータルコストを比較検討することが重要です。

③寿命

寿命が長いものは交換頻度が少なく、長期的には経済的です。

例えば、リチウムイオン電池は寿命が10年程度ありますが、全固体電池はさらに長寿命が期待されています。長寿命の蓄電池を選ぶことで、メンテナンスの手間とコストを抑えることができます。あとは価格との兼ね合いなども考慮しましょう。

④補助金

家庭用蓄電池の導入に置いて大きなハードルのひとつとなるのが価格面ですが、国や自治体の補助金制度を活用すれば、初期費用を抑えることもできます。

例えば、東京都では家庭用蓄電池に対する補助金制度があり、購入費用の一部を補助してくれます。ご自分がお住まいの自治体に、まずは問い合わせてみて、利用可能な補助金を確認してみましょう。

⑤設置スペース

設置場所の確認と確保も重要です。大容量の蓄電池を設置する場合にはなおさらスペースの確保が必要です。とくに都市部の住宅では、限られたスペースに設置するために工夫が求められることがあります。

屋外に設置する場合は、防水対策も必要。事前に設置場所をしっかりと確認し、問題がないかチェックしておきましょう。

⑥使用用途

家庭用蓄電池を何に使うかを明確にしましょう。停電時のバックアップ電源として使うのか、電気料金の節約を目的とするのか、はたまた環境への貢献を重視するのかによって、選ぶべき蓄電池の種類や容量が変わってきます。

例えば、頻繁に停電が発生する地域に住んでいる場合は、停電時に長時間電力を供給できる大容量の蓄電池が適しています。一方で、電気料金の節約を主な目的とする場合は、日常的に使用する電力量に応じた適切な容量の蓄電池を選ぶことが重要です。

7. まとめ

この記事では注目の集まる家庭用蓄電池の種類、メリット・デメリット、費用、選び方の面から紹介しました。災害大国と言われる日本では、有事の備えとしてひとつ持っておくのも手。ぜひこの記事を家族にシェアして、蓄電池の導入について検討してみてはいかがでしょうか。

おうちのアラートでは、蓄電池導入のご相談を受け付けています。お困りの際はお気軽にご相談くださいね。

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