バリアフリーリフォームの工事内容は?費用相場や使える補助金も紹介

65歳以上の高齢者にとって、『一番事故に遭いやすいのは家庭内』ということを知っていますか?

だからこそ高齢のご家族のサポートや自分自身の老後の暮らしを考えたときに、バリアフリーリフォームは非常に重要です。

そこで本記事では、具体的なリフォーム例や費用相場、さらに補助金制度について詳しく解説します。この記事を参考に、ご家族の安心な住まいづくりを考えてみてはいかがでしょうか。

1. 「バリアフリー」とは?

そもそも「バリアフリー」とは、一体何でしょうか。バリアフリーは、年齢や身体の障害によって生じる日常生活の不便を取り除くための仕組みのことを指します。具体的には、足が上がりにくくなった高齢者のために段差をなくしたり、掴まって歩行するための手すりを設置したりするなど、身体が効かない人でも安全に快適に暮らせるよう、住まいを改修することです。

バリアフリーリフォームの目的は、高齢者や身体が不自由な方が安全に暮らせる環境を整えること。とくに65歳以上の高齢者の家庭内事故は、一般道路や民間施設よりも住宅内で発生することが多く、77.1%を占めています(「平成30年版高齢社会白書(全体版)」参照)。

このため、住まいをバリアフリーにしておくことは高齢者の事故防止に不可欠です。しかしバリアフリーリフォームは施工が完成するまで一定期間を要するため、実際に身体が不自由になってからでは不便を感じることも。リフォーム計画は早め早めに立てましょう。

2. 代表的なバリアフリーリフォームの工事内容

バリアフリーリフォームにはどんなものがあるのでしょうか。以下でそのリフォーム例を見ていきましょう。

2-1. 段差の解消

高齢者や車椅子利用者にとって、段差はつまずきや転倒の原因。こうした段差を解消することで、骨折や怪我を防ぐことができます。ホームセンターで購入できるスロープを設置するだけでも効果がありますが、滑りにくくしっかり固定することがまずは大切です。細かな段差については、床の底上げを検討すると良いでしょう。

2-2. 手すりの設置

手すりを設置することで、階段の上り下りや平坦な場所での移動を助け、転倒を防ぐことができます。ポイントは手すりを使いやすい太さと高さに設置すること。とくに車椅子を使用する場合は、高さの調整が必要です。

2-3. 間取りの変更

寝室とトイレの距離を近づけたり、1階に生活に必要な設備をまとめたりといったふうに間取りを変更することで、日常の生活がグッと楽になります。また、冬場に気温が下がる廊下など、温度差によるヒートショックについても考慮する必要があります。居室を一体空間に変更してしまうなど、間取りの改善を行なうのも有効です。

2-4. 滑りにくい床材へのリフォーム

滑りにくい床材への変更は、バリアフリーリフォームの代表的な工事のひとつ。水回りには水はけの良い素材を、寝室には柔らかいコルク素材を使用するなど、場所に応じた素材を選びましょう。

2-5. 引き戸へのリフォーム

開き戸から引き戸に変更することで、車椅子での開閉がしやすくなるほか、出入口のスペースを有効に使えます。ただし、設置には扉を引き込むスペースが必要なため、間取りを確認することが重要です。

2-6. 水回り設備のリフォーム

またぎやすい浴槽や洋式トイレに交換することで、足腰への負担が軽減され、日々の入浴や排せつが楽になります。また、浴槽を使わないのであれば、思い切ってシャワールームに変更してしまうのもひとつの手。シャワーが高い位置に設置されているため、介助者が中腰になることなく、入浴を手伝いやすくなります。

2-7. 温度差の解消

ヒートショックを防ぐため、暖房を設置して住まいの温度差を解消します。とくに温度差が生まれやすい浴室や脱衣所に暖房を設置する方が多いでしょう。

3. バリアフリーリフォームを行なう際のポイント

バリアフリーリフォームを検討する際には、以下のポイントに注意することが重要です。これらのポイントを押さえることで、安全で快適な住まいを実現することができます。

3-1. 1階で日常生活が完結するように変更する

高齢者や身体が不自由な方のために、1階で日常生活が完結するように住まいを改修することが理想です。例えば、寝室やトイレ、キッチンなどの主要な生活空間を1階に配置し、階段の上り下りを減らすことで、事故のリスクを軽減できます。
それが難しい場合には、ホームエレベーターを設置する案もあります。

3-2. 車椅子が通れる通路幅にする

車椅子がスムーズに通れるよう、通路やドアの幅を確保することが重要です。最低でも90cm以上の幅が必要とされています。

3-3. 予算と優先順位の兼ね合いで決める

バリアフリーリフォームは多くの費用がかかります。初期の予算に加えて、工事中に課題が浮き彫りになった場合には追加予算が必要となるためです。

そのため、予算に合わせてリフォームの優先順位を決めておくと想定外のことが起きたときにも選択しやすいでしょう。絶対に見逃してはいけないのは、安全性の確保です。快適性に関しては、安全性が確保できたあとで追求するように計画を立てましょう。

3-4. 実績が確認できる業者に依頼する

大袈裟かもしれませんが、バリアフリーリフォームは高齢者の生活を託す大事業です。コミュニケーションをしっかり取ることができ、相性の良さを感じられる業者を選びましょう。また、過去の実績や口コミを確認することや、施工の質やアフターサービスも考慮することも大切です。

3-5. 早めからリフォームを検討する

リフォームは早めに検討し、計画を立てましょう。急な対応では十分な準備ができず、満足のいくリフォームが実現しないことがあるためです。

3-6. 介護する側・される側両者の観点から考える

意外と見落としがちなのが、介護者の使い勝手。リフォームを行なう際には、日常の暮らしのニーズと照らし合わせながら、介護する側とされる側の両者の視点から考えることが必要です。介護しやすい環境を整えることで、被介護者だけでなく介護者の負担を軽減できます。

3-7. 「自立した生活」ができるかを考える

バリアフリーリフォームの目的は、高齢者や身体が不自由な方が自立した生活を送れるようにすることです。自立を促すために、使いやすい設備や動線を考慮してリフォームを進めることが重要です。

4. バリアフリーリフォームの費用相場

バリアフリーリフォームの費用は、リフォームする箇所や規模によって大きく異なります。以下は代表的なリフォーム箇所とその費用相場です。

4-1. トイレ

トイレのバリアフリー化には、洋式トイレへの変更や手すりの設置、ドアの幅広化などが含まれます。費用はおおよそ10万円から30万円程度です。

4-2. 浴室

浴室のリフォームでは、またぎやすい浴槽への交換や滑りにくい床材の導入、手すりの設置が主な内容となります。費用は約30万円から100万円程度が目安です。

4-3. 洗面所

洗面所のバリアフリーリフォームは、車椅子が利用しやすい高さの洗面台や鏡の設置、滑りにくい床材の使用などが代表的です。費用はおおよそ10万円から50万円程度です。

4-4. 玄関

玄関のリフォームでは、段差の解消やスロープの設置、手すりの取り付けが行なわれます。費用は約10万円から40万円程度です。

4-5. 階段

階段のリフォームには、手すりの設置や段差の低減、滑り止めの導入が含まれます。費用はおおよそ10万円から50万円程度です。

4-6. 廊下

廊下のバリアフリー化には、幅の拡張や手すりの設置、滑りにくい床材の導入などが含まれます。費用は約10万円から30万円程度が目安です。

5. バリアフリーリフォームで活用できる補助金制度

バリアフリーリフォームには、国の介護保険制度や自治体の助成金制度からの補助金を活用することができます。

費用負担を軽減することができますが、利用するには書類の提出や申し込み条件の該当など、さまざまな制約があることも。いざリフォームに着手してから適用できないことが発覚するのは悲しいですよね。家庭内でリフォームの話が持ち上がった時点で調べておくことをおすすめします。

具体的な補助金制度については、お住まいの自治体の窓口や専門の業者に相談すると良いでしょう。

また、補助事業者として登録しているリフォーム会社に相談してみることもおすすめです。

6. まとめ

バリアフリーリフォームは、高齢者や身体が不自由な方の生活をサポートするために欠かせないものです。各種リフォームの費用や注意点、補助金制度を理解し、ご家族に最適なリフォームを計画しましょう。早めに準備を進めることで、安心で暮らしやすい住まいを実現できますよ。

もしお困りの際には、ぜひ一度【おうちのアラート】までご相談くださいね。

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