日本特有の文化として長い間親しまれてきた和式トイレ。しかし、近年では洋式トイレへのリフォームを検討する家庭が増えています。そこで本記事では、和式トイレに関わるメリットとデメリット、洋式トイレへとリフォームする際の流れについて、詳しくご紹介します。
1. 和式トイレの誕生と衰退
和式トイレの前身は、貯糞汲取り式便所であり、これが日本の便所文化の始まりでした。鎌倉時代、麦の二毛作が奨励される中、糞尿が貴重な肥料として再利用されるようになり、それらを取りやすい形の便所が開発されたのです。
1900年代に入ると、陶製の水洗式和式トイレが登場。日本陶器合名会社(現・株式会社ノリタケカンパニーリミテド)が、日本初の和風水洗大便器と洋風小便器の製造を手掛けたとされています。最初は衛生陶器を欧米メーカーから輸入していましたが、日本国内での研究が進み、1914年からは製陶研究所製の水洗式便器が出荷されはじめました。
それ以来日本の家庭では長らく和式トイレが主流でしたが、1959年に日本住宅公団が洋式トイレを採用したことから、洋式トイレの普及が加速。1967年には温水洗浄便座が登場し、1970年代前半の水不足問題もあって、多機能かつ節水効率の高い洋式トイレの需要が高まりました。
2000年代前半には和式トイレの出荷比率が、なんと5%以下に減少。住宅設備機器メーカーのTOTOによると、2020年時点で和式トイレの出荷数は全体の0.3%以下にまで落ち込んでいます。
2. 和式トイレのメリット・デメリット
衰退の一途を辿る和式トイレですが、そのメリット・デメリットにはいったいどのようなものがあるのでしょうか?以下でひと通り、和式トイレについての特徴を押さえていきましょう。
2-1. 和式トイレのメリット
①排便しやすい
和式トイレはしゃがむ姿勢で使用するため、腹圧を自然と高め、便通を良くする効果があるとされています。また、下半身の筋力を鍛える効果も期待できます。
②触れずに利用できる
不特定多数が使用する公衆トイレでは、洋式トイレの便座に座ることに抵抗を感じる人もいるでしょう。その点、和式トイレは便座に直接触れず利用できるため、清潔性を気にする人にとって利用しやすいという意見もあります。
③掃除しやすい
洋式トイレに比べシンプルな作りとなっており、溝や隙間などが少ないため、掃除しやすい特徴があります。また、公共施設の和式トイレでは、床に排水溝が設られており、デッキブラシで掃除した後にそのまま水で洗い流せるようになっていることもあります。
2-2. 和式トイレのデメリット
①体勢が取りづらい
しゃがむ姿勢での使用は、妊婦や高齢者、膝に障がいがある人など、体の不自由な人にとって大きな負担となります。立ち上がる際や段差の上り下りにも注意が必要です。
②冬場はとくに寒い
和式トイレの使用時には体が便器に近い位置でしゃがむ姿勢を取るため、床の冷たさを直接感じやすくなります。冬場などにはそれが顕著でしょう。また、トイレの窓が外気と直接つながっている場合、冷気が侵入しやすく、その結果としてトイレ内がより一層冷え込むこともあります。
③周辺が汚れやすい
しゃがむ位置によっては、排泄物が便座からはみ出してしまうことがあります。また、水を流す際にも、その勢いで水はねがしやすく、結果として便器の周辺が汚れてしまう場合があります。
3. 洋式トイレへリフォームするときの流れと費用相場
「2020年時点での和式トイレの出荷数は全体の0.3%以下」とTOTOのデータが示す通り、いまはトイレの大半は洋式トイレに置き換わってきています。それでは、和式トイレを洋式トイレにリフォームする際にはどのような手順で行なえばよいのでしょうか?以下でその流れを大まかにご紹介します。
3-1. 現状の確認
現在のトイレの状況を確認し、リフォームに必要な工事の範囲を把握します。場合によっては配管工事や床の張り替え工事も行なう必要が出てくるため、予算は多めに見積もっておきましょう。
3-2. 見積もりを取得
複数の業者から見積もりを取り、コストと工事内容を比較します。リフォームの費用相場は、大体20万円から40万円程度が目安となりますが、トイレのグレードや機能によっても大きく変わります。
3-3. 業者の選定
見積もりと評判などを基に、リフォーム業者を選定します。見積もりの内容は明確か、質問に対する回答は丁寧でわかりやすいか、Web上での口コミが極端に悪くないか、など多方面から検討してください。
3-4. 工事の実施
工事日程を決め、リフォーム工事を行います。施工期間はおよそ3〜5日程度です。
3-5. 完成後の確認
工事が完了したら、最終的なチェックを行い、問題がなければリフォームは完了です。
ただし、トイレの種類や工事内容、選ぶ設備によって大きく変わるため、詳細は見積もりを取って確認することが重要です。
和式トイレから洋式トイレへのリフォームは、日常生活の快適性を向上させるだけでなく、家全体の価値を高めることにもつながります。メリットとデメリットをしっかりと比較検討し、最適な選択を行いましょう。
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4. 和式トイレに洋式カバーを取り付ける方法
予算や時間的な都合で、「どうしても今はリフォームが難しい」という方もいるでしょう。そんな方に検討していただきたいのが、和式トイレの上から簡易洋式便座(カバー)を取り付ける方法です。実質的には和式トイレのままですが、見た目を手軽に洋式トイレに変更することができます。
簡易洋式便座の相場はおおよそ1万円前後と、リーズナブルなのも特徴。ただし、カバーを被せているだけなので、掃除のしづらさと不安定さにはご注意ください。以下で、取り付け方法をご紹介します。
和式トイレに洋式便座カバー(洋式化キット)を取り付ける方法は、和式トイレを洋式トイレのように使えるようにする便利な改装方法ですが、正しい手順と適切なキットの選定が必要です。ここでは、一般的な手順をご紹介しますが、購入したキットに同梱されている取扱説明書の指示に従ってください。
4-1. キットの選定
和式トイレを洋式に変換するためのキットを選びます。市場にはさまざまなタイプがありますので、トイレのサイズや形状、予算に合わせて選定してください。
4-2. トイレの清掃
取り付け作業を始める前に、和式トイレをきれいに掃除します。便器の内外を洗浄し、乾燥させてください。
4-3. キットの内容物確認
キットに含まれる部品が全て揃っているか確認します。通常、座面、取り付けブラケット、ネジなどが含まれています。
4-4. 取り付け位置の決定
和式トイレの便器にキットを仮置きし、最適な位置を決定します。使用者が最も快適に使用できる位置に設定してください。
4-5. ブラケットの取り付け
キットに含まれる取り付けブラケットを和式トイレに固定します。多くの場合、便器の縁にクランプ式で固定するか、あるいは専用の接着剤を使用します。
4-6. 座面の取り付け
ブラケットに座面を取り付けます。座面を正しい位置に合わせ、ネジやクリップで固定します。固定後、しっかりと座面が安定しているか確認してください。
4-7. 最終チェック
座面が安定しており、使用に問題ないことを確認します。また、座面が便器にしっかりと固定されていることを再確認してください。
4-8. 使用前の注意
すべてのキットがすべての和式トイレに適合するわけではありません。購入前に、キットがご自宅のトイレに適合するかを必ず確認してください。また、和式トイレに洋式カバーを取り付ける際は、トイレの構造や水の流れを妨げないようにすることも大切です。
設置が完了したら、最初の数回は、座面が正しく固定されているかを確認しながら使用してください。不安定な場合は、固定を再度確認し、必要に応じて必ず調整しましょう。不安定なままにしておくと、思わぬ事故や怪我に発展する恐れがあります。
5. まとめ
ここまで、和式トイレの歴史からメリット・デメリット、リフォームの流れをご紹介してきました。トイレは健康的な暮らしをする上でとくに重要な場所。安心して快適に使えるトイレ作りを行ないたいものですよね。
もし和式トイレから洋式トイレへのリフォームを考えているなら、お早めのタイミングの方が身体にもご負担が少ないかもしれません。
まずは無料見積もりだけでも結構ですので、【おうちのアラート】までご相談くださいね。
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