「キッチンの換気扇をリフォームしたいけど、シロッコファンやプロペラファンなどのファンの種類がわからない」
キッチンの換気扇交換をお考えの方には、このように悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで本記事では、キッチンの換気扇に使用されている「プロペラファン」と「シロッコファン」に着目して、それぞれの特徴やメリットデメリットなど、主な違いについて紹介していきます。併せて、キッチンの換気扇を購入する際のポイントについても解説しますので、リフォームの際にはぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。
1. プロペラファンとシロッコファンとは
キッチンの換気扇には、主に「プロペラファン」、「シロッコファン」、「ターボファン」の3種類が使用されています。今回は中でも「プロペラファン」と「シロッコファン」について詳しく解説します。
あまり聞き馴染みがない2つのファンですが、それぞれ特徴は大きく異なりますので、リフォームの際には違いについて理解しておきましょう!
1-1. プロペラファンの特徴
プロペラファンは、後述するシロッコファンのように排気用のダクトがなく、屋外に直接煙を排出する「直接排気式」の換気扇です。
プロペラファンは、中心のモーターに4~6枚の羽が取り付けられており、その名の通り扇風機のプロペラのような形状をしているのが特徴的。
壁に直接取り付けて屋外排気を行なうファンのため、取り付けも非常に簡単とされています。羽根の枚数は少ないながらも、パワフルな風量を生み出し、コストパフォーマンスは高いといえるでしょう。
1-2. シロッコファンの特徴
シロッコファンは、細長い板状の羽根が筒状に配置された換気扇で、主にレンジフードなどの換気機器に利用されます。
シロッコファンは、回転させることで汚れた空気を吸い込み、接続されたダクトを経由して屋外へ排気します。ダクトを利用することで、屋外と直接隣接していない場所にも換気機器を設置できるため、直接排気できない集合住宅での利用に適しています。
また、シロッコファンは外部の風の影響を受けにくい構造をもつため、風圧が強い高層住宅にも取り付けることができたりと、比較的自由な位置に取り付けられます。
2. プロペラファンとシロッコファンのメリット・デメリット
特徴が大きく異なるプロペラファンとシロッコファン。それぞれのメリット・デメリットだけではなく、設置可能な場所・住宅形態までも異なります。あとから後悔しないためにも、メリット・デメリットをおさえた上でリフォームを進めていきましょう。
プロペラファン | シロッコファン | |
---|---|---|
換気性能 | ・風圧が強く、風量・排気量ともに多め ・風への抵抗はやや弱い | ・吸い込む力が強く、換気効率が高い ・空気を送り出す力に優れている |
静音性 | 稼働音はやや大きめ | 稼働音は静か |
価格 | シンプルな構造のため、価格はお手頃 | プロペラファンに比べ、やや高額の傾向 |
設置推奨場所 (住宅・キッチンの種類) | ・戸建て住宅 ・屋外の壁に面した場所以外は設置不可のため、一般的なI型キッチンにのみ設置可能 | ・集合住宅(高層マンションにも対応可能) ・場所を問わず設置できるため、アイランドキッチンやペニンシュラキッチンにも設置可能。 |
2-1. プロペラファンのメリット・デメリット
プロペラファンは、優れた排気能力と高い換気効果が主なメリットとして挙げられます。とくに排気能力が高く、シロッコファンに比べて換気量が優れています。
シンプルな構造により、取り付けや掃除が容易で、価格がお手頃なのも魅力的。羽の数が4〜6枚ほどと少ないため、お掃除が自力でも簡単に行えます。
一方で、プロペラファンは稼働音がやや大きく、屋外に面した壁にしか取り付けられないというデメリットも。これにより外気が部屋へ入ってくる可能性や、騒音が発生するリスクがあるため、この点が気になる方は注意が必要です。
また壁面にしか取り付けることができないため、とくに壁に直接配置されていないアイランドキッチンやペニンシュラキッチンには適していないことが多いとされています。さらに風の影響を受けやすいため、高層階や風の強い地域には向いていないこともあります。強風時には適切に作動しづらい場合もあるため、留意しておきましょう。
シンプルな構造で掃除は手軽に行えるものの、ホコリや油汚れが比較的付着しやすいとされており、頻繁なお手入れが必要です。
2-2. シロッコファンのメリット・デメリット
シロッコファンは、場所を問わず設置可能な点が代表的なメリットとして挙げられます。プロペラファンと異なり、ダクトを使用して排気ができるため、屋外と直接つながっていない場所にも比較的自由に取り付けできます。
直接屋外に排気を行わないため、外部の風からの影響を受けず、機密性の高い住宅にも適しています。そのため、集合住宅やマンションでも広く採用されており、近年主流になりつつあるファンです。形状もスッキリとしており、レンジフード内に収められるので、見た目や作動時の音も配慮されています。
静かで安定した排気を行うだけでなく、ガスコンロ上にも設置でき、油煙などを効果的に集めることができるのも嬉しいポイントです。
一方で、シロッコファンのデメリットとしては、本体価格がやや高額であることが挙げられます。また、空気を送り出す力は強いものの、吸引力がプロペラファンに比べてやや劣るとされています。さらに、構造が複雑なため取り付け・取り外しが難しく、掃除に手間がかかるというデメリットも。
ただし、最近では掃除が容易なシロッコファンも増えているため、選ぶ際にはお手入れの容易さも確認しておくようにしましょう。
3. キッチンの換気扇を選ぶポイント
「プロペラファンとシロッコファンの違いはわかったけれど、肝心のキッチンの換気扇はどれを選べば良いかわからない…」という方に向けて、本章ではキッチンの換気扇を購入する際のポイントを5つご紹介します。ご自宅の状況によっては設置不可能なキッチンの換気扇もありますので、必ずチェックしておくようにしましょう。
3-1.レンジフードの外観
キッチンのレンジフードの外観・デザインには複数のタイプがあり、それぞれ特徴や性能はさまざまです。
①ブーツ型
ブーツ型は、手前側に大きく口を開いた形状で、煙や蒸気、臭いを強力に集めることができます。ファンには、「プロペラファン」や「シロッコファン」が使われることが一般的です。
シンプルな形状であり、比較的リーズナブルな価格帯で販売されています。一方、フィルターの目が細かく、汚れやホコリが溜まりやすいため、フィルター掃除にはやや手間がかかる点に注意が必要です。
②スリム型
スリム型は、薄型でスタイリッシュなデザインの外観が特徴的です。
一般的に「シロッコファン」が使われています。溝やつなぎ目が少ない内部形状で、油汚れが付きにくく、拭き掃除がしやすいのも嬉しいポイント。
しかし、高機能なモデルは価格がやや高価格であることも多いので要注意。フィルターの掃除が不要なノンフィルタータイプや、内部構造の改善により拭き掃除が容易なものもあります。
③フラット型
フラット型は、上下に薄く浅い形状が特徴で、低い天井のキッチンや狭いスペースにも取り付けられます。
フラット型はその名の通り、床と並行のデザインのため、掃除は真上を向いて行う必要があるなど、やや掃除に手間がかかるという点もあります。
3-2. キッチンのレイアウト
換気扇(レンジフード)を選ぶ際には、外観だけでなく、ご自宅のキッチンのタイプやレイアウトに合うものを選ぶことも重要です。ご自宅のキッチンはどれに当てはまるか確認してみましょう。
①壁付きキッチン
壁に沿って配置された壁付きキッチンには、「壁付け型レンジフード」が適しています。
このタイプは短期間で取り付け可能で、限られたスペースを最大限に利用し、調理の臭い漏れを抑えることができます。シンプルでシックなデザインが特徴であり、取り付けも簡単のため、交換費用も抑えられるメリットがあります。
②ペニンシュラキッチン
ペニンシュラキッチンとは、キッチンの左右どちらかが壁に面するようにレイアウトされたキッチンのこと。このペニンシュラキッチンでは、「横壁付け型レンジフード」が採用されます。
キッチン全体のデザイン性は高まりますが、レンジフードが開けているため、壁付けタイプと比べると操作音が気になる場合があります。
③アイランドキッチン
アイランドキッチンとは、壁に接しておらず島(アイランド)のように独立して設置されたキッチンを指します。
このアイランドキッチンには、天井から吊るす「天吊型レンジフード」が最適。デザイン性も高く、洗練された雰囲気を演出しますが、取り付けには工事期間や費用が増加する傾向があります。
また、このタイプのレンジフードは高機能なものも多いため、本体価格もやや高額です。
3-3. 換気扇およびレンジフードのサイズ・高さ
※本体の「換気扇」とカバーである「レンジフード」は通常一体化した製品のため、「換気扇(レンジフード)」と記載しています。
キッチンの換気扇(レンジフード)のサイズには、横幅60cm・75cm・90cmの、共通した3つの規格サイズがあります。消防法の基準により、コンロの天板の横幅よりも幅の短い換気扇(レンジフード)の設置は認められていません。
例えば、コンロの天板が60cm幅の場合、換気扇(レンジフード)の幅は60cm、75cm、90cmのいずれかのサイズを選択することができますが、コンロが75cm幅の場合、60cm幅の換気扇(レンジフード)は設置できません。そのため、新しい換気扇(レンジフード)を選ぶ際には、なるべく現在のサイズに合ったものを選択するのがおすすめです。キッチンの換気扇(レンジフード)の交換を検討する際には、現在のキッチンのスペースや既存の換気扇(レンジフード)の横幅を正確に把握しておくようにしましょう。
さらに、換気扇(レンジフード)の幅だけでなく、取り付ける高さにも注意が必要です。火災予防条例により、換気扇(レンジフード)の高さは、コンロなどの加熱機器から80cm以上離れている必要があります。既存の換気扇(レンジフード)と高さの異なるものへ交換する場合には、基準の高さを確保できるように確認することが必要です。
3-4. 機能
キッチンの換気扇(レンジフード)に搭載されていると便利な人気の機能も、買い替えの際には覚えておくと役に立ちます。機能や性能によって、本体価格の差が生じるため、予算やライフスタイルに合わせて優先順位をつけながら選ぶのがおすすめです
①ノンフィルタータイプ
ノンフィルタータイプの換気扇(レンジフード)は、フィルターが不要なためお手入れが簡単で、近年人気のモデルです。整流板に油煙をぶつけ、専用の捕集トレイに油や汚れを集める仕組みであり、フィルター掃除の手間を省くことができます。
一方で、フィルターの掃除は不要でも、整流板の拭き掃除など、他の部分のお手入れは依然として必要なため、注意しておきましょう。
②自動洗浄機能
自動洗浄機能は、フィルターレスタイプと同様、近年人気が高まっています。
この換気扇(レンジフード)は、内部に給湯トレイが設置されており、ファンにお湯が注がれることで洗浄される仕組みです。
ファンに油や汚れがついてしまう前に、自動的に内部洗浄を行なってくれるため、お手入れの手間がグッと減り、近年人気の機能です。ワンタッチで洗浄可能な機種もあり、特定のトレイにお湯を入れて洗浄ボタンを押すだけで、油汚れを取り除いてくれる便利なタイプもあります。
③コンロ連動機能
一部の換気扇(レンジフード)には、コンロと連動してスイッチのON・OFFが切り替わる「コンロ連動機能」が備わっているものもあります。
コンロ連動機能は、コンロから発される赤外線信号を換気扇(レンジフード)が受信することで、コンロに合わせてレンジフードのON・OFFが自動的に切り替わる仕組みです。ただしコンロとの連動機能を利用するには、コンロ自体も連動機能に対応している製品を備えておく必要があります。
コンロの使用状況と連動して自動的に換気扇(レンジフード)の運転が開始・停止するコンロ連動機能は、誤ってつけっぱなしにするのを防げるため、忙しい方や換気扇を切り忘れてしまう方にはおすすめの機能と言えるでしょう。
上記で紹介した機能以外にも、調理状況に応じて風量を自動で調整する「風量自動調節機能 」や、一定の温度上昇を感知して自動的に換気を開始する「自動換気機能」などもあります。ご自身のニーズや、ご家庭の状況に合うものを選ぶようにしましょう。
3-5. 掃除のしやすさ
お手入れが面倒なキッチンの換気扇(レンジフード)。もっと簡単かつ気軽にお掃除ができたら…とお悩みの方も多いのではないでしょうか。そんな方には、掃除が簡単になる工夫が施されたキッチンの換気扇(レンジフード)を選んでおくのがおすすめです。
キッチンの換気扇(レンジフード)をお手入れしやすくするためのポイントは、換気扇(レンジフード)のデザインや設計、そして機能です。前述した「スリム型」のキッチンの換気扇(レンジフード)は、角や溝のない凹凸が少ない形状で、拭き掃除がしやすい仕組みとなっています。また、フィルターがない設計となっているため、お手入れも簡単です。
簡単にファンの取り外しができるものや、油汚れがつきにくい塗装が施されているものも、清掃性をグッと向上させてくれます。水や油を弾き、汚れが乾いてもこびり付きにくい「はつ油塗装」を施しているタイプなど、メーカーによっても様々な商品が出ているので、ぜひチェックしておきましょう。
さらにお手入れの簡単さを追い求める方には、前述した「自動洗浄機能」がおすすめ。メーカーによっては、ファンを取り外して行うお掃除が10年間不要としているものもあります。一方、ファンのお手入れは不要としつつも、プレートは1年に1回程度のお手入れが必要とされているので、注意が必要です。
4. まとめ
いかがでしたか?
キッチンの換気扇に使用されている「プロペラファン」と「シロッコファン」のそれぞれの特徴や、メリットデメリット、主な違いについて解説しました。キッチンの換気扇を購入する際のチェックポイントについても詳しく紹介しましたので、ぜひキッチンの換気扇リフォームの際の参考にしてみてくださいね。
また、安心してキッチンの換気扇交換を行いたいなら、リフォーム専門業者へ依頼するのもおすすめです。【おうちのアラート】では、お問い合わせを24時間365日、無料で受け付けております。ぜひお気軽にご相談くださいね。