地震に火災、台風など、何かと災害が多い日本。ニュースで災害被害を見るたび「うちは大丈夫だろうか?」と不安な気持ちになる方も多いのでは?災害時でもできるだけ不自由のない暮らしができるよう、また大事な人の命を守れるよう、検討しておきたいのが「防災リフォーム」。
本記事では、防災リフォームの種類と方法を解説します。ぜひ知識としてインプットし、将来の対策を見据えていきましょう。
1. 防災リフォームの定義
そもそも防災リフォームとはなんでしょうか?通常のリフォームは、キッチンやバスルームの更新、床材の交換など住宅の美観向上や機能的な改善を目的として行なわるものです。
これに対して防災リフォームは、家の安全性を高めることに重点を置いたリフォームです。具体的には自然災害を想定し、耐震補強や防火材の使用など緊急時のライフライン維持を目的とした設備に変更するリフォームです。災害が多い日本で暮らすには、対策するに越したことはないでしょう。
2. 防災リフォームの種類
防災リフォームにはいったいどのような種類があるのでしょうか?以下では日本で想定される防災リフォームを詳しく解説していきます。お住まいの地域や住宅タイプなどによってニーズが異なるため、ご自身のお住まいの住宅と照らし合わせながら読んでみてくださいね。
2-1. 地震対策
「耐震基準」は建築年によって異なる?
建築基準法による耐震基準は、1981年と2000年を重要な節目として変更されています。つまり「地震に耐えられる建物」の定義は1981年以前、1981年から2000年、そして2001年以降の住宅で異なり、それぞれの耐震性能にも違いがあるということです。
そのため、2001年以降の最新基準に適合する住宅を除き、それ以前に建築された住宅は耐震診断を受けるなどして現在の耐震性能の有無を見直す必要があります。
「耐震リフォーム」は3種類
現在の耐震リフォームは、地震対策の仕組みとして「耐震構造リフォーム」、「制震構造リフォーム」、「免震リフォーム」の3種類があります。
「耐震構造リフォーム」とは、建物全体の強度を高めることで、地震の揺れに対して住宅倒壊を防ぐ仕組みを強化するリフォームのことです。このタイプのリフォームでは、主に建物の構造体自体を補強することに焦点を当てています。
また「制震構造リフォーム」は、地震のエネルギーを吸収し緩和することを目的としており、「制震ダンパー」と呼ばれる装置を建物に設置する方法をとります。これによって家が揺れにくくなり、地震発生時の家具など住宅内部の造作物や備品の損傷を軽減することができます。制震リフォームの特徴としては、既存の住宅にも比較的容易に導入できる点が挙げられます。
さらに「免震リフォーム」は、建物の基礎と地盤の間に免震装置を設置し、地震の力を直接建物に伝えるのを防ぐ方法です。地震時に建物自体が大きな揺れから隔離されるため、建物内の人々や設備、家具などが安全を保ちやすくなります。一般的に新築の公共建築物や病院、重要なインフラ施設で採用されています。
「耐震構造リフォーム」
① 耐震補強
建物の構造体の強度を向上させることを目的としています。
とくに、地震時に力を多く受ける柱や梁などの主要な構造部分を補強することで全体の耐震性を高めます。またこれには、構造材を接続する金物の追加や、損傷した構造材の修理・交換が含まれます。
② 耐震壁の補強や追加
建物が受ける横揺れに対する抵抗力を増すために行なわれます。
筋交いを追加することで壁の剛性が向上し、地震のエネルギーを効果的に分散させることができます。この補強は、とくに耐震基準が低い旧来の建物には必要とされるリフォーム法です。
③ 屋根の軽量化
地震時の建物への負担を減らすために行なわれる改修です。
重い屋根材を軽量なものに置き換えることで、地震の際に建物全体へのストレスを軽減し、倒壊のリスクを低減します。とくに重い瓦などを軽い金属製の屋根材に交換することが一般的です。
2-2. 火災対策
住宅が密集している地域などとくに対策しておきたいのが、火災。
火災対策を行なっておけば外部からの延焼を防ぐだけでなく、住宅内部で発生した火災が家の外部や近隣に広がることも抑制できます。またそのように一軒一軒が対策することで、コミュニティや地域全体の保全にもなります。場所別にその方法を見ていきましょう。
① 屋根の強化
外部で火災が起きたとき、屋根は外部からの火の粉を受けやすい部分。
そのため屋根を強化するなら、可燃性が低く、高温に耐える素材への変更が効果的です。金属製の屋根や特別に処理された木材など、防火性の高い材料を使用するリフォームが一般的です。
② 外壁の強化
外壁の強化には、高熱に耐え、炎や熱いガスの侵入を防ぐことができる防火性の材料や処理を施します。防火性のプラスターや非燃性のサイディング、外装の裏に防火性のメンブレンを取り入れることが、建物の耐火能力を大幅に向上させる方法となります。
③ 開口部の強化(玄関や窓など)
開口部の強化は、火災時の弱点となりやすい玄関や窓に注目します。
防火性のドアや窓を設置することで、建物内の火災を封じ込め、炎や煙が隣接する建物に広がるのを防ぐことができます。ドアや窓に防火性のガラスや枠材を使用する場合、通常のリフォームよりも費用がかかるため、優先的に防災リフォームを行なう箇所を絞りましょう。
2-3. 暴風対策
日本は台風や暴風警報が頻繁に発生する国のため、強風から住宅を守るリフォームは見逃せません。
以下で詳しく代表的な暴風対策を紹介していきましょう。
① 雨といの設置
強風による雨水の侵入を防ぐためには、効果的に雨水を排水する雨といの設置が推奨されます。
雨といで屋根からの雨水を迅速に地面に導くことで、建物の壁や基礎への水害リスクを減少させます。
② シャッターの導入
窓やドアにシャッターを導入することで、飛来物や強風そのものから住宅を保護できます。
とくに台風や強風が頻繁に発生する地域では、窓ガラスが割れるリスクを減らすために、堅牢なシャッターの設置が有効です。
③ 防災ガラスの導入
強風時に窓ガラスが割れてしまうのを防ぎ、室内への飛来物の侵入を抑制します。
通常のガラスよりも強度が高く、割れにくい特性を持っているため、安全性を大幅に向上させることができます。
④ 軒やひさしの強化
軒やひさしの部分は、暴風によって捲れ上がったりと直接影響を受けやすいため、これらの部分の強化も重要です。強化された軒やひさしは、強風による損傷を防ぎ、建物全体の耐風性を高める効果があります。
2-4. ライフライン対策
災害時に向けて備えておくべきは、外部的な設備だけではありません。ライフラインの確保もそのひとつ。以下では、ライフライン対策としておすすめの設備をご紹介していきます。
①非常用発電機の設置
自家発電機を設置することで、大規模な停電が発生した際にも電力を確保できます。
燃料としてガソリンやディーゼルを用いるタイプが一般的ですが、最近ではより環境に優しいソーラー発電機も人気を集めています。
②太陽光発電及び家庭用蓄電池の導入
電力供給が断たれた場合に備えて、太陽光発電システム及び家庭用蓄電池を導入するのもひとつの手です。太陽光パネルで日中の太陽光を利用して電力を生成し、蓄電池で電力を蓄える仕組みです。災害時でも照明や通信機器、必要な家電製品を使用することができるようになります。
③ガス供給システムの確認と改善
地震が発生するとガス漏れのリスクが高まるため、自動ガス遮断装置の設置や耐震ガスメーターへの交換も検討しましょう。これにより地震発生時でも自動的にガスの供給が停止し、火災のリスクを低減することができます。
④バックアップ水供給システムの整備
水の確保は災害時の生存に直結する問題です。飲用水はもちろん、トイレの洗浄や炊事・洗濯など、生活するうえで水を必要とする場面は多くあります。そこで自宅で利用可能な井戸を設置することもひとつ。井戸水は、飲用に適した処理を行なうことで、断水時でも生活用水として利用できるため安心です。
⑤タンクの設置
家庭内に小規模な水道配管内タンクを設置することで、水道水の供給が途絶えた場合でも一定量の水を利用できるようになります。また、非飲用水の調達には、雨水タンクを利用して雨水を集水・保存することも有効でしょう。
3. まとめ
以上、防災リフォームの種類を解説してきました。ご自分の住まいにとくに必要だと思える対策はありましたか?平穏なときはついつい見逃してしまいそうになる防災リフォームの必要性ですが、災害に遭ってから後悔しても手遅れです。
転ばぬ先の杖として、防災リフォームをぜひ検討してみてくださいね。自宅にどんな対策が必要かわからない、という方は【おうちのアラート】までお気軽にご相談ください。