
中古住宅の売却時や新築住宅の購入時などに耳にする「インスペクション」という言葉。インスペクションとは、プロによる住宅の劣化状態チェックを指しますが、一体どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
この記事では、インスペクションの基本的な意味や目的に加え、実施するメリットや注意点、プロに依頼した際の費用相場について解説します。これから不動産の売買や購入を検討している方はぜひ参考にしてみてくださいね。
1. インスペクションとは何か

インスペクションは、不動産取引の際にその建物の状態を確認するための調査です。とくに中古住宅の取引において、近年重要視されてきています。この章では、インスペクションの定義や目的、法改正による義務化の背景について解説します。
1-1. インスペクションの定義と目的
インスペクションとは、不動産取引において建物の構造や設備に欠陥がないかを確認するための調査です。
具体的には、建物の劣化状況や修繕の必要性を確認する「既存住宅状況調査」などが含まれます。物件の状態を明らかにすることで、売主と買主の間でのトラブルを未然に防ぐことが目的です。通常は、売主側が業者に依頼するのが一般的です。
1-2. 近年の法改正や市場動向
近年、中古物件の購入やリノベーションが増加している背景には、選べる物件の多さやエリアの広さなどが挙げられます。これに伴い、物件の状態を正確に把握するためのインスペクションがますます重要視されるようになりました。
とくに、リノベーションを前提とした中古物件の購入では、インスペクションが物件の状態を確認し、リノベーションの計画を立てる際の重要なプロセスとなります。こうした市場動向や、2018年に施行された「宅地建物取引業法」の改正で、不動産売買時に既存住宅のインスペクションの説明義務が導入されたことも手伝って、インスペクションの役割は今後さらに重要になっていくでしょう。
2. インスペクションのメリット

インスペクションを実施することで、物件の状態を把握し、より良い条件での売買ができるようになります。この章では、インスペクションの具体的なメリットについて解説します。
2-1. 物件の価値を最大化する可能性
物件を売るためにはどれくらいの価格設定が良いのか、売却前に修繕することでさらに高値で売れるような欠陥はないか、そのようなことを考える場合にはインスペクションが欠かせません。
インスペクションによって、物件の強みや改善点を明確にすることで、適切な修繕や価格設定が可能になります。つまり物件の市場価値を最大限に引き出すことができるのです。
2-2. トラブル回避と安心感の担保
事前に物件の状態を把握することで、取引後のトラブルを防ぎ、買い手に安心感を与えることができます。たとえば、購入後に思わぬシロアリ被害が発覚するような事態を避けることで、買い手にとって信頼性の高い物件としてアピールすることにもつながります。
2-3. 早期売却や高値売却が期待できる
インスペクションを通じて、物件の状態が良好であることが証明されれば、買い手の関心が高まり、早期にかつ高値で売却できる可能性が高まります。早めに売却を行ないたい場合にも、好都合と言えるでしょう。
3. インスペクションのデメリット

インスペクションには多くのメリットがありますが、デメリットも考慮する必要があります。この章では、インスペクションの費用負担や売却に不利になる可能性について解説します。
3-1. 調査にかかる費用負担
インスペクションには費用がかかります。一般的な調査費用は約5万〜10万円程度ですが、オプションが加わるとさらに増える場合があります。インスペクションで見つかった欠陥を修繕するためにもさらに費用がかかるため、予算は多めに見積もったほうがよいでしょう。
3-2. 結果が売却に不利になる可能性
言うまでもありませんが、インスペクションの結果、重大な欠陥が発見された場合、それが売却に不利に働く可能性があります。ただし欠陥を見過ごして売却してしまうと、その後トラブルになるリスクもあります。事前に不利になるリスクを理解したうえで、やはりインスペクションを依頼するほうがよいでしょう。
3-3. 瑕疵(かし)を完全に発見できないリスク
インスペクションは建物の状態を確認する有効な手段ですが、すべての瑕疵を完全に発見できるわけではありません。そのため、一定のリスクが残ることを理解しておきましょう。
4. インスペクションの費用目安

インスペクションを実施するには一定の費用がかかりますが、その費用は調査の内容や物件の規模によって異なります。この章では、インスペクションの費用相場について詳しく解説し、どのような要素が費用に影響するかを説明します。
4-1. インスペクションの費用相場とその内訳
インスペクションの費用は一般的に5万〜10万円程度ですが、これはあくまで基本的な調査に基づく相場です。実際の費用は、調査する建物の規模や構造、または調査項目の範囲によって大きく変動します。例えば、大規模な住宅や複雑な構造を持つ物件では、調査により多くの時間と専門知識が必要となり、その分費用も高くなります。
また、調査項目に関しては、基礎的な項目に加えて、配管や電気設備の詳細な調査を希望する場合に追加費用が発生することも。これらの費用は、物件の築年数や現在の状態に基づいて決定されるため、事前に業者と具体的な内容を確認しておくことが大切です。
4-2. オプションについて
インスペクションでは、標準的な調査以外に、シロアリの検査や屋根裏、地下室の詳細調査などのオプションを追加することができます。こうしたオプションは、物件の特性や購入者の希望によって選択されることが多く、費用もそれに応じて変動します。
これらのオプションを選択するかどうかは、物件の価値を高めるための重要な要素となるため、業者とよく相談して決めると良いでしょう。
4-3. 誰が費用を負担すべきか
インスペクションの費用を誰が負担するかは、売主と買主の合意によって決定されます。一般的には、売主が費用を負担するケースが多く見られますが、買主が独自に調査を依頼する場合は、買主が費用を負担することになります。
売主がインスペクションの費用を負担することで、物件の信頼性が高まり、売却を有利に進めることができるケースもあります。そのため、どちらが負担するかについては、取引の条件や物件の状況に応じて変わるのです。
5. まとめ
インスペクションは、不動産の売買において非常に重要なプロセス。物件の価値を最大化し、トラブルを回避するために欠かせませんが、その費用やリスクも理解しておくことが大切です。信頼できる業者を選び、適切なインスペクションを行なうことで、不動産取引の際に懸念点を減らすことができるでしょう。不動産取引においては、インスペクションの実施をぜひ検討してみてください。
もし「プロに無料で相談してみたい」という方は、ぜひ一度【おうちのアラート】までご相談ください。